現代キューバ音楽のコンポーザー、 アレンジャーの中でもっとも難解な音楽を提示し続けているのが このKLIMAXの核、いえ、クリマックスそのものと言って良いでしょう ヒラルド・ピロートです。
NGラ・バンダのドラマーとして名を馳せていたころから ヒラルド・ピロートは、作曲の才能にずば抜け それ以外のオルケスタ(チャランガ・アバネーラなど) に提供という形でも、常に腕を振るっているので その才能には、感服するばかり。
ファースト・アルバム「Mira S i Te Gusta」(MANZANA/MACD-17) から現在まで、キャッチーなティンバ・ナンバーから ジャズ(ジャズを前面に押し出した作品として「Jazzeando Klimax」 (CRACD-158)がある)までを、幅広くカバー。
何をやろうとも、独自の路線を歩み続けるクリマックスの 楽曲はポピュラー・ミュージックとはいえ どれも一筋縄ではいかないものばかり。 当然それだけに、面白く、魅力的で 飽くことなく、聴き入ってしまうというわけです。
一曲の中に詰め込まれているアイディアも、遊びもぎっしり。 この作品に至るまで、クリマックスも様々なアプローチのもとに 音楽を構成してきたのですが、まだまだ、何をやらかすのか 分からない、そんな雰囲気です。
ピロートの複雑にして、攻め続けるスタイルの楽曲に接していると ああ、これぞ混沌としたキューバ音楽の醍醐味なのだな、と 感じるものです。 ぜひ、この作品だけではなく、前述のファースト、それにつづく 「Juego de Manos」(EUCD-3)を聴きこんでみて下さい。 どちらも、当時のティンバの勢いと、キューバ音楽の美しさが 途方もなく詰め込まれた、夢のような作品です。
そして、関連作品としてクリマックスの主要ボーカリストとして 活躍したデニス(Denis&Swing)のソロ「Nunca Pescao,Siempre Tiburon」 を挙げておきます。
(DJ KAZURU ★ 2005/01/03)
|