キューバ女性3人組のヒップ・ホップ・ユニットかしら。と ジャケ写からは想像してしまいますが、一聴すればその とんでもなくCOOLなサウンドに、まずは驚くはず。 ネタは、キューバ音楽に日々接している人にとっては スタンダードともいえる有名曲ばかり。 そこをもって 「どういう発想だとこうなるワケ??」 と 驚愕&ハイ・センス展開のアルバムです。
クレジットに目をやれば「produced by Holger Hiller」 と あるのですが、ホルガー・ヒラーって、あの テクノ系のドイツ人か、ってとこまで気がつけばすべてに 納得がいくというものです。 やはりどの国の人間であろうとも、ちょっとした耳(彼の場合 ちょっとしたどころか、相当鋭い耳をお持ちなはず)を持っていれば 2000年手前時期、キューバ音楽の強烈さに気づくわけで ヒラーも、そこに食いついたひとりと、察するのですが 同じくラテン音楽を自分の創作に取り込んだ、ドイツ テクノ界の鬼才、アトム・ハートが完全に茶化した形で 再構築して見せたのとは対照的。ヒラーの仕事は 「現在のキューバ音楽の粋」をそこねないものとなりました。
キューバ人ミュージシャンやシンガーの持ち味を、そのまま 保ってあげることはできても、良さはそのままに 新しい感覚を具えてあげることは、特にキューバ人には難しく やはり「才能ある一部の外国人」の仕事になってくると思うのです。 ジャーマン・ニュー・ウェーヴあなどれじ。 本作品は、まさに他ジャンルの才能がキューバ音楽に結びつき 開花した好例。 私も、キューバ人ではないキューバ音楽を称える者の一人として こうした作品を心から待っていたと感じました。
チャランガ・アバネーラの演奏で知られる2,7、 マノリン&メディコ・デ・ラ・サルサの名曲4,8 、 パブロ・ミラネスの3,9。 6.にいたっては「グアンタナメラ」と、原曲を知っていれば更に楽しみの倍増する曲ばかりです。
厚すぎないバックトラックに、心地よくからんでくる あくまで「キューバ」な女性ボーカルが、やはりキモではありますが 飛び道具的に入る効果音も絶妙なるタイミングで狙ってきます。 こんなの、サルサ・クラブじゃドン引き? かも知れませんが、逆に コアなクラブだったら、間違いなく話題にのぼる作品。
(DJ KAZURU ★ 2005/01/31)
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