「あの」Revéが、完全にコンテンポラリー・キューバンの第一線に戻ってきたといえる快作をご紹介します。
Revéの実力も功績も充分に、分かっているつもりだったのですが2005年という時期に、さらにパワーアップしたレベの作品に巡り合えたことは、個人的にもキューバ音楽のシーンにとっても感動的な出来事です。
先代Elio Revéが交通事故で惜しくも亡くなったのは1997年。息子がバンドを引き継ぎ、この3作目でRevé全盛期の勢いに迫る内容になりました。
Revéサウンドの原点は、キューバ東部のグァンタナモで民衆音楽として伝わるチャングイのリズム。それをベースに1955年にハバナに出てきてバンド・サウンドにしたのが実質的なスタートです。
1960年代後半には、当時メンバーだったベーシスト、Juan Formellの曲がヒットして一躍人気バンドとなりましたが、1970年にJuan FormellがElio Revé1人を残し全メンバーを引き連れてLos VanVanを結成するクーデターが勃発。その後、本体のRevéは弟のOderquisと共にバンドの体制を整えますが、沈滞期が続いてしまいます。
1980年後半になって、ピアニストのJuan Carlos Alfonsoが参加してヒット曲を連発し、人気が復活。そのJuan Carlos AlfonsoがDan Denを結成し脱退すると、次に歌手のYumuriが参加し、人気TVのテーマ・ソングにも取り上げられたビック・ヒット「Mi Salsa」を発表。人気、実力共にキューバNO.1バンドとなります。
1992年と1994年には来日を実現。 私は、1994年の六本木のライブを体験しましたが、あの壮絶な演奏、そして失神者が出そうなほどの高揚した空気は、今後も忘れることはできないでしょう。 亡くなったElio Revéが、Van VanもNGも全て自分が創ったようなもんだと、豪語していた内容のインタビュー記事がありましたが、そういうことを言えるのは後先にもこの人だけといえる存在なのだと思います。
世代交代をして8年後、ついに傑作「Se Sigue Comentando」の誕生となります。
2.Mi Vecinaはダンス向きのファンキーなナンバー、3.Tú No Te Llenasは曲途中でアレンジが展開するところなど聴き所満載。6.Déjala Que Sigaは軽快で明るいミディアム・テンポがいい感じです。8.Puzorreoはチスパっぽい曲、と思い調べてみると、この作品でカンタンテをつとめているのは、チスパ・イ・ロス・コンプリーセスで活躍し、その後Azucar Negraに在籍していたボーカリストでした。10.Vamos a Casa De Pipien Yateras、11.Se Sigue Comentando Uyuyuy Que veoは、Revéらしい重厚さが感じられる曲。
どの作品も勢いがあって最高です。
特に今回から作曲とアレンジで参加しているGeovany Cofino Sánchezのセンスは只者ではなく、今後の注目の的といえます。
(福田 カズノブ ★ 2005/03/21)
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