この壮大なコンピレーション・シリーズは 1994年発売されたvol.1から、1996年のvo.7までが存在しています。 「ヒット曲をお手軽に」若しくは 「あるジャンルをさっと眺めるのに適当な」といったことを 目指してはいないがゆえに、高品質にまとまっています。
アナログ盤、CD盤ともに、いわゆる「ラテン音楽ファン」以外の 層の手に渡り、鋭く、ラテン音楽の素晴らしさをアピールするに至った 評価すべき企画と言えるでしょう。
どれか1枚挙げるのには苦労しますが、 ここに挙げたのは、最も私の好きなvol.4です。 悩ましくも切ない、ウィリー・ロサリオの 「ラスト・タンゴ・イン・パリ」が収められているので vol.4 を選びました。
本シリーズは、どれも、基本的には同じテイスト。 60年代から70年代の音源を中心に Alegre, Tico, Fania, Cotique, Inca といったレーベルから チョイスされている、どこをとっても充実している 優れたシリーズです。
「ヘヴィ・ニュー・ヨーク・ラテン・ビーツ・コレクション」 として、ラファエル・セバーグ氏と内海イズル氏の手により 編まれているのですが(同名のクラブ・イベントも 当時、都内の有名クラブにて、開催されていました)、 ふたりとも、DJとしてマンボやデスカルガを長年 プレイし続けてきた人らしく、クールな選曲です。 有名な曲も多く収められていますが、改めて 曲の良さに気づかせてくれる構成は、さすが。 ただ当時の音源を、やみくもに集めて編集しただけでは こうはならなかったでしょう。
キューバ音楽に親しんでいる人にとっては 近いようで遠くに存在している、NYのラテン音楽ですが 「SUITE ESPANOLE」で聴くことが出来るのは、 紛れもなく「黄金期」のラテン・ミュージックです。
ティト・アレン、ボビー・バレンティン、ティピカ73・・・ 心を揺さぶられる楽曲と演奏を、彼らは確かに 残したのだということが、耳と心のある方には お分かりいただけるはずです。
(DJ KAZURU ★ 2005/04/11)
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