Evolución 021
Luis Enrique
2000 wea 84016-2

1.Qué Sé Yo
2.Alma Rosa
3.Debajo De La Luna
4.Te Extrañaré
5.Sé Feliz
6.Trampa Del Destino
7.Tú Me Amas
8.Anónimo
9.Plantar Bandera
10.Nena
11.Alma Rosa
12.Viaje A La Felicidad


本作がリリースされた2000年頃というのは、
キューバのティンバ系オルケスタに面白いものがいくらでもあって
それでも、新人がわらわらと登場しては、シーンを賑わせていた時代。

刺激をもたらしてくれるのも、音楽的に見所があるのも
すべては、キューバ発信のものだと、私自身も信じていたものです。

ルイス・エンリケの名は、すでに広く知られていたものの
どちらかといえば、ロマンティックで、大人しめのサルサ歌手
といった印象で、出身もニカラグアということですから
キューバのティンバを愛好する向きには
あまりひっかからない存在だったはず。

しかし、この「EVOLUCIÓN」はどうしたことでしょう、
それまでのスタイルとは、うってかわり
当時のキューバ音楽のように力強くなりました。
アイディアにもあふれたサウンドを取り込み、
見事な彼の歌唱力はそのまま生かされた
充実の作品となっています。
各曲とも、凝りに凝ったアレンジで、これを
単純なサルサ・アルバムとは呼べませんし、逆に
キューバのオルケスタがやろうとしても
なかなか、このテイストにはなりえない気がします。

マイアミには、キューバ音楽を深く理解する人材が
ミュージシャンとしても多数存在していることも、考慮すべきでしょうが
ともかく、このころからマイアミ発信の音楽が、かなり良い意味で
きわどくなってきたのです。本作が、その好例。

「サルサ歌手」を甘いものだと思っている人は、まず1曲目で
そのクールさに打ちのめされるでしょう。
2曲目では、ただならぬ展開に心奪われるでしょう、
3曲、4曲と聴き進むうちに、ルイス・エンリケとは一体
どんな才能の持ち主なのかと、悩み始めてしまうかもしれません。
それほどに、これは奇跡的に文句の付け所のない作品なのです。

1999年リリースした、「Timbalaye」(RODVEN 314 559 122-2)
の路線が、ソフトにリッキー・マーティンを狙ったような、いわば
戦略的なムードだっただけに、ルイス・エンリケ自身も、どのように
自分をプロデュースしていくのが正解なのか、迷った時期も大いに
あったと察しますが、そのボーカルにおけるカリスマ的な
魅力は、厚みのあるサウンドをバックにした時こそ、最も
輝くように感じます。

勢いはあるけれど、抑制もとれている。
セクシーさも、ベタベタしたものじゃない。
複雑なことをやっているようで、ストレートに響いてくるのは
胸を締め付けるような「こみあげ系アッパー・サウンド」
・・・もう何度繰り返し聴いたか、分からないのですが
それでも、聴くたびになにかしらの発見があります。
そういうことは、あまりないことですし、趣味の問題を持ち出してしまえば
完璧に、DJ KAZURUのストライク・ゾーンを射抜く作品と言えます。
♯5、♯7、♯9、♯12 あたりで失神しかけるのが常です。

(DJ KAZURU ★ 2005/04/25)

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