DLGにMichael Stuart、Frankie Negron… Sir George(Sergio George)が手がけたアーティストは数多く それぞれにヒットにも恵まれ、評価され、NYのラテン・シーンは 一時Sir George色に染め替えられた感もありました。
その華やかなセルジオ組の中に、女性4人組のコーラス・グループ Velasも存在していたのです。
かつてなかった女性4人のユニットで、それまでのサルサの常識では 考えられなかった音楽を表現するに至ったSir Georgeですが Velas名義でのサルサ・アルバムと呼べるものはこれ一枚きり。 一説にはメンバーの妊娠・出産など、女性にありがちな「諸事情」により 活動を続けることは不可能だったとか。
en vogue(今で言うならデスチャってとこ?)を思わせるヴィジュアル 4人の歌唱力などのバランスも問題なく、何より 素材を生かしきったアレンジと選曲で 本アルバムは、Sir Georgeの仕事としても特筆すべき完成度に なったと思います。
サウンドはずばり、ゴージャス。 コーラス・ワークはとことん情熱的に、たたみ掛けるように。 これが聴く者にからみついてくる刺激となります。 Sir Georgeとしても、最もソウルフルを意識して作ったと思われるだけに 日頃サルサを聴き慣れない耳をも捉えるでしょう。 また、キューバ音楽しか好まないと言われる向きにも、この黒さが フィットするはずです。
♯1、♯4(90年代半ばに、マイケル・ジャクソン設立プロダクションから デビューした、アメリカンR&Bガール・グループ 《ブラウン・ストーン》 「If you love me」のカヴァー)の、踊りながらもつい 涙を誘うあたりは、まさにこのユニットの真骨頂。 ♯2、♯5の切なさフル回転しちゃうとこもたまらなく。 ♯8のソウルの名曲カヴァー・メドレーも、直球すぎという 意見があるとは察しますが、私は大好きです。
このようなグループが再び登場することを願ってやみませんが 2005年を迎えた今となっては、これもまた望み難いことでしょう。
大切に、ずっとずっと聴き続けてしまうであろう一枚です。
(DJ KAZURU ★ 2005/05/23)
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