私が惹かれるキューバ音楽ってどんなものなのか。
どのように美しく どのように精巧で、どのように激しいものなのか。
聴いてもらうのが 手っ取り早いけれど、何を示せばキューバ音楽の魅力を 一瞬にして納得してもらえそうかな? と、考えた時の選択のひとつはこのアルバム。
キューバの土着的なリズム。どの国の音楽家も驚くであろう 革新的な発想。 何より、明るくて、身体がわくわくしてくる。じっとしているなんて無理。 (あまりにも重厚なこの音を分析するのも無理)。
そんなわけで、ティンバのすべてが詰まっているような名盤です。 クリマックスのリーダー、ヒラルド・ピロートの才能の豊かさは 私があらためて示すまでもないことですが、これだけ複雑な 音の展開でコトを進めておきながら、親しみやすいメロディをもって すんなりと聴かせてしまう曲が目白押しの、本作品は 全てのラテン音楽ファンが聴くべきアイテム。 クリマックスの全作品を並べても、これが 最も充実した作品のように感じます。
ピロートはドラマーなわけですが、彼の叩き出す入り組んだ 迷宮のようなビート感、これにとりつかれたら、もう大変です。 リリース当初、明けても暮れてもこの作品を聴いていましたが 本当に飽きることがないのですね。 特にお気に入りだった♯12の位置にはついに傷が入ってしまい ショックを受けましたが、日本盤がありがたいことに リリースされていましたので、再び手にすることも出来ました。 クリマックスのファンならば、誰もが愛した♯3も 同様に名曲ですが、どちらも楽しくバイラブレな曲でありながら 恐ろしいほど鋭いのですね。
クリマックスの音楽はいつもこのように多面体で 驚きをもたらしてくれます。
この作品に詰め込まれている、楽しみはあまりに多くて それを咀嚼していくには、長い時間を要しますが、こんなにも 聴き応えのある作品というのは、いかに キューバという豊かな音楽の土壌においても、 そうそうあるものではありません。 ティンバやキューバ音楽に興味を持っていながら この作品を知らなかったと言う方には、大急ぎで 手に入れていただきたい1枚です。
(DJ KAZURU ★ 2005/08/01)
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