いわずと知れた、キューバでもっともポピュラーな オルケスタのひとつがチャランガ・アバネーラ。
このアルバムは、元気で、明るく、少し猥雑な チャランガ・アバネーラの魅力が全開。 リリースされた時期と照らし合わせれば、これが いかに衝撃的に新しく、本格的なティンバの時代の到来を 告げたものだったかということも、お察しいただけるでしょう。
この作品のリリース当時、 ふりそそぐ太陽の光のように明るい音を聴いた瞬間に ぐっときたのです。 探していた音が、ここにあったという喜びを得ました。 あっけらかんとしたムードと、腰に来るビート感の 共存がたまらなかった。 何より、フレッシュさもアピール・ポイントのひとつにしていた 彼らのテンションの高さに、興奮させられたものです。
このオルケスタの看板歌手だった ミシェル・マサは、当時誰よりも輝いていました。 リーダーのダヴィ・カルサードという人は こうした、才能を見事に料理できる人なので、使い勝手の 難しい、大型の人材をとても上手く生かしました。 彼を筆頭に、個々のメンバーは実力は一定以上で ありながらも、勢い重視のように思えるかもしれませんが ダヴィのコンセプトと統率力があればこそ、ここまで クオリティの高い作品になったのです。 キューバの風俗とキャッチーなメロディ、そしてティンバらしい アレンジが見事に融合した♯5は 彼らの代表曲であると共に、キューバのティンバを代表する一曲です。 もちろん、他の収録曲も、劣らぬ出来で 思わず一緒に歌いたくなるポップな曲だらけ。
以前、松任谷由実が 「長年日本のポップス界を見てきて、 シンガー・ソング・ライターという人たちも山ほど出てきたわけだけど 自分には『中央フリーウェイ』という名曲を作ったという自負がある。 あれほどの曲を、書けるなら書いてみろと思う」 と、いうようなことを言っているのを 雑誌か何かで見たことがあります。 メロディの普遍性、親しみやすさ、日本語の歌詞、ポップスとしての魅力 すべての均衡が保たれたという意味でも、純粋に「いいな」という感覚的な 部分においても、『中央フリーウェイ』は日本のポップス史に残りうる 名曲だと思います。
ダヴィも思っているのではないでしょうか? 「"TEMBA"ほどの曲を世に出せるなら、出してみろ」と。
(DJ KAZURU ★ 2005/10/10)
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