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1. Elige Tu 2. La Superturística 3. Tu Piensas 4. La Madrugada 5. Ni Fio , Ni Doy , Ni Presto 6. Nube Pasajera 7. El Coleccionista 8. Que Hablen , Los Habaladores 9. La Vida Es Tan , Tan 10. El Loco De La Mata De
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キューバン・サルサが、サルサ・ドゥーラと呼ばれるようになり、ティンバと改名した頃のキューバ音楽にはわくわくする何かが確かにあったように思います。
それは、 「才能溢れるディレクター」が、 「良い楽曲」を、 あっと言わせる「新しいアレンジ」で、 「鍛え抜かれた演奏能力」のもとに、 「名ボーカリスト」が歌っていたからでしょう。
現在は、グループが分裂や脱退を繰り返し過ぎたために、その5つの要素が揃わない場合が多いので、全体としてティンバのレベルは当時より劣っている傾向が続いています。
ミッチェル・マサ。 チャランガ・アバネーラの初期黄金時代のリード・ボーカリスト。 チャランガ・アバネーラの人気沸騰と共に、彼の人気も絶頂となり、イサック、パウロ、マノリンと並んでトップ・カンタンテに躍り出た人物です。
1999 年チャランガ・アバネーラ分裂の後、脱退し、チャランガ・フォーエバーのセカンド・アルバムに参加。その後は、ソロを続けていますが、自身のバンドはなかなか安定せず、迷走を続けてしまいます。 1枚、ブートレッグのライブ盤がありますが、ブレーキの効かないモントゥーノが爆発した内容で、良いディレクターがいればという出来。 どうも彼はリーダーや作曲・アレンジの才能はあまり持ちえていないようです。
彼ほどの名カンタンテが路頭に迷うのはファンからすれば大きな損失です。 そんな中で初ソロ作がようやくリリースされたのが 2004 年春。 エンビーディア・レーベルのバック・ミュージシャン制作で、トロンボーンを基調にしたソン・テイストの強いキューバン・サルサ中心の内容で、チャランガ時代の作品も3曲セルフ・カバーしていましたが、残念ながら原曲には遥かに及ばない出来であったのです。
そして今回紹介するのが、2005 年 12 月、同じエンビーディアからリリースとなったセカンド・ソロ作。 前作とは打って変わって、ミッチェル・マサの縦横無尽、圧倒的なボーカルが全編を貫いた快心作となりました。 前作とほぼ同じメンバーによる録音ですが、ミッチェル・マサがディレクションしたことの影響か、エンビーディア・ミュージシャンの押さえ気味な演奏がドライブ感溢れる熱い演奏に変わっているのです。
各楽曲を見ていくと、 1. Elige Tu は、ベニー・モレの作品を、ミチェル・マサのソウルフルな声を生かしたティンバにアレンジしたもの。 しょっぱなから、ティンバ特有のざわざわとした高揚感が伝わってきます。
2. La Superturística と 6.Nube Pasajera は、チャランガ・アバネーラ 「 Pa’Que Se Entere La Habana 」 収録作品。 名曲に名カンタンテの歌が加わると以前の楽曲が生き返ってきます。 この作品を現在のチャランガ・アバネーラが演奏しても当時の雰囲気は出ないでしょう。それは、この楽曲が既に、作曲者のものでも、チャランガ・アバネーラのものではなく、ミッチェル・マサの曲になってしまっているからです。 演奏もダイナミック、ティンバの持つ疾走感を味わうことができます。
7.El Coleccionista はチャランガ・アバネーラ「 Tremendo Delirio 」 収録曲。
8.Que Hablen , Los Habaladores は、1曲目同様ファンキーなナンバー。 ミッチェル・マサのペンによるものですが、彼はこういったモントゥーノが好みのようです。
9.La Vida Es Tan , Tan はマノリンのナンバーを髣髴とさせる作品。
10.El Loco De La Mata De はミチェル・マサ作。 哀愁あるメロディを持ったキューバン・サルサです。カバー作を除いたオリジナル楽曲としては本アルバム最大の聴き所。
キューバン・サルサ、ティンバはどうしても演奏志向に走りがちですが、あくまでも歌ものという側面をとらえてみれば、ボーカリストの存在がいかに重要であるかがわかります。
ミチェル・マサのこの作品に、新しいと感じさせる楽曲やアレンジはありませんが、個性溢れるボーカルと素晴らしい楽曲を堪能できる1枚あることは間違いありません。
(福田 カズノブ ★ 2006/01/09)
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