マンディ満ちるはサルサシンガーでもなければ 特にラテンを根幹としている人でもないのですが(クラブ・ジャズ、 ハウスのイメージの方が強いでしょうか)クラブシーンで ながきにわたって支持されている ある種、カリスマですので そのマンディの「ラテン・アルバム」となれば やはり捨て置けはしません。
もちろんベースにあるのは 「クラブ・テイスト」。 全編通して 風が吹き抜けるように、爽快かつ伸びやかな声で マンディの歌を堪能できます。 ブラジリアンとキューバンのいいところを かいつまんで、クラブライクなアレンジに生かしているのですが そちらの方も、大沢伸一はじめセンスには ぬかりない方々が固めているようです。
ラテン風味の強さや、現地の音楽への理解度だけで 物事を進めると、まったく分からなくなってしまう 格好よさ、粋、心地よさ といったことが、ここでは何よりも 重要視されるのです。 マンディ満ちるの存在はそちら側から ラテンを攻めた場合、絶大だということは 数曲も耳にすれば分かること。
ですから どの曲も、ラテン云々ということでなしに 耳を程よく刺激してくれるわけですが ティンクーバ的「耳」においては ♯7の存在あってこその、本作品です。
これはシスター・スレッジの「thinking of you」を サルサ・アレンジでカヴァーしたもの。 カシーノで踊れるくらい、しっかりサルサしてることは 嬉しい驚きでありましょう。 冒頭に述べたとおり、サルサシンガーではない 彼女ですが、曲の理解度と、天性のリズム感で とにかくクールな仕上がりになっているのです。 ”Monday+salsa+thinking of you!” なんと素晴らしい企画でしょう。 しかも1999年にこういったことをやろうと 考え付いているあたりに、彼女の鋭さが 垣間見れます。
余談ですが、マンディ満ちるは、ジャズ・ピアニストの秋吉敏子と サックス奏者チャーリー・マリアーノを親に持っています。 しかし、それだけのことでは説明付かないくらい 豊かな音楽的才能を携えて この世に生まれてきた人なのだと思います。
(DJ KAZURU ★ 2006/02/06)
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