言わずと知れたグロリア・エステファン 1998年のヒット・アルバム。
70年代のディスコ・ミュージック 華やかなりし頃を取り戻そうとするかのような 楽曲構成で、ダンス・ミュージックとして 何も考えずに楽しめる曲ばかり。 ディスコ・サウンドのおいしいところが がっちり感じられる、パーティー・ムードの作品です。
ですから、グロリアの作品群においても 純粋なポップス・アルバム ということになるでしょうが、中でも抜群に 素晴らしいと思うのは ”OYE” のようにラテン心をしっかり捕まえてくれる曲。 98年当時、自分もクラブイベントにおいて 頻繁に使用したものですが、難しいこと全くナシで おおいに盛り上がったことを思い出させてくれます。
この全編あっけらかんとした 「若者」めいた作風において、異色なのは ”Cuba Libre”。 この曲だけはちょっと違うのです。 グロリア自身は、かなり幼少期に キューバから離れているはずなのですが、 ここでは思いっきり 「故国への望郷の気持ち」を歌っています。 「個人としては、殆ど知らない国であっても ルーツは強くある」 といったところでしょうか。 実際彼女は キューバ音楽を色濃く押し出した アルバムも 発表していますので、不思議はありませんが こういった、切なく訴えかける曲であっても 「恰好いいダンス・ミュージック」として 成立させているあたり、さすがは マイアミ・サウンド・マシーン。 超・名曲&名アレンジです。
なお、当時ちょっとした 時の人であった、ワイクリフ・ジョンが ゲスト参加しています。 あまり、時代の流れに 翻弄されることはないグロリアですが 流行をちょっとだけ取り入れることで 懐古的なコンセプト・アルバムを作っても しっかり「時代の半歩先」のようにしてしまう技量に 一流となった者の強さを感じます。
(DJ KAZURU ★ 2006/02/27)
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