ラテン・ロックの名盤。 チカーノ・ロックの魅力を世に知らしめた グループは この、SAPOのほかにも El Chicano はたまた Tierra あたりが 同様の魅力を有しており 素晴らしいと感じていますが とにかく生命力の溢れ方が ハンパないといいますか、1 曲目を 聴いただけでもガツーンとやられてしまう 気迫があるのですね。
そして、その燃えさかるような テンションにひきつけられたかと思うと ♯2 のメロウな展開でまたまた 意表をつかれてしまう。
さらに、最もレア・グルーヴに近い テイストをかもし出す♯3 へと 続けるこの感性。 なんと美しいのでしょう ( ♯3は突然うって変わる 後半部分の展開にも注目。ホーン・ソロなども含めクール )。
ロックとくくってしまうには あまりに豊かな引き出しを 持っているグループです。
ところで、私は 世で言うところの 「 ロック 」 なる音が どうしても好きになれないタイプの 偏狭なリスナーでありますが その原因は、短調なリズムと 「 白っぽさ 」 にあると 自己分析しております。 しかし SAPO はアフロ・キューバンはもちろん ラテンのリズムを駆使していますので 倦んでいる暇などありません。 ホーンの厚さからは ファンクなイメージも強く引き出されますし、 グルーヴ的にも黒い部分がありまして、ロックとは むしろ言いがたいのかも知れません。 そして、とても艶っぽさが全体に感じられます。
いわゆるチカーノ・ロックは 1970 年前後にブームを起こした音ですが 当時を体験していない我々にも 刺激を充分に与えてくれる魅力を備えていることが この 1 枚を耳にしていただくだけでも お分かりいただけることでしょう。 音楽とは、間違いなく常に進化していくべきものですが こういった、美しい時代があったのだということを 知るために時間を割くことも なかなかに有意義なことです。
(DJ KAZURU ★ 2006/06/12)
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