当サイト、始まって以来 いくどとなく紹介してきたアーティストですが 改めて(ごく簡単に)紹介しますと 「在チリ、ドイツ人、テクノ・エレクトロニカ系。 主にアトム・ハートの名で知られる彼が ラテン作品を送り出すときに名乗る名義が セニョール・ココナツ」です。
細野晴臣、高橋幸宏、テイ・トーワらが ライナー・ノーツでこれでもかと 賛辞していますが、そのとおり ミュージシャン内での評判は高いです。 ラテンを聞きなれていない耳の人でも おお。と思うでしょうが 普段からラテンを聴きまくっている人間にとっても この切り口はすごい。 そして、クラブのラウンジや DJのいるレストラン・バーなどで多用されているであろう 間口の広さ。
ラテンのリズムを用いて、何か新しい 試みをしようというときに、紋切り型の 明るさ、能天気さ、誰もが抱くイメージ。 そういった部分からの脱却加減に、まずは 脱帽なのです。
「スムース・オペレイターをチャ・チャ・チャで」 「ビート・イットをメレンゲで」 というアイディアが出たときに 8割がたの人間は ある同じ方向を目指してしまう気がするのですが セニョール・ココナツにおいては、思いも寄らない クールさを打ち出してくれるのです。 「ラテン」をものすごく俯瞰で見つめているからでしょうか この、閉塞感のなさといったら。 彼の世界観に比べたら、小手先だけの 「ルーツ・ミュージクをクラブ(ラウンジ)・テイストに進化」みたいな 多くの試みは稚拙にすら感じられます。 「楽器の演奏とサンプリングの融合」といった面からも 興味深さは尽きません。
♯1をはじめ、みんなが知っている曲を 見事にカヴァーしたものが多く収められていますが 私のフェイバリットは♯10、オリジナルです。 エレクトロラティーノという言葉(造語?)は セニョール・ココナツを一語で表すにもぴったり。
私は「生楽器主体の8人編成」だという ”HIS ORCHESTRA” でのステージは観たことがありませんが 単独で、ラップトップをいくつも並べてのパフォーマンスは 観たことがあります。
何をやっているのか、ほぼ不明でしたが 聴こえてくるものは素晴らしかった。 そして、見た目はごく 普通のおじさんでした。。。(ジャケ写はいつも他人)。
(DJ KAZURU ★ 2006/07/31)
|