ルイス・ミゲルのプロフィールは 「 1970年メキシコ生まれ スペイン人歌手の父と、イタリア人女優の母を持ち 12歳でデビュー。アイドルからラテン・ポップス・シンガーとなり ボレロ歌手としても大成 」 といったところですが、セールスの記録やコンサートでの 熱狂、その人気はとても文字で示せる程度のものではなく まさにスター、そんな一言でまとめざるを得ないのです。
25歳で3度もグラミーを受賞していることからも分かるように 彼は、ごく若い時から安定した歌唱力をもち 表現力も優れた、いわば天性の歌手でした。
年齢を重ねて、さらに魅力を増し 成長を続けているということも、すごいことですが スタンダードな楽曲でも、完全掌握し 有無を言わせぬ 「 ルイス・ミゲル・ワールド 」 にしてしまう 稀な資質のアーティスト。 彼と比べられるような、似たようなアーティストというのも 存在していないと思います。 とても真似が出来ない存在であり そのキャパシティは、ラテン界の枠を大きく超えているのです。
1991 年、ラテンの古典的名曲をカヴァーした 「 ロマンセ 」 があまりの完成度であったため、ボレロ歌手の 印象も強い人ですが、そういったジャンルに手を染めても 年寄り向けのものにはならず、常にフレッシュで若い層に アピールしています。
本作は 1994 年のツアーからのピック・アップ 2 枚組ですが 会場の興奮度がいかに高かったかが伝わる 見事な LIVE アルバム。 心に燃える炎が、歌声となって大きなうねりを生みだし 説得力をもたらしています。
歌の力というのは絶大なのもの、と あらためて感じるのですが 彼をまったく知らない、何の情報もない人がこれに接したとしても 10 人が 10 人、 瞬く間にルイス・ミゲルのファンになってしまうのではないかと思う そんな内容です。 各曲は選び抜かれた名曲揃いですから、気に入った曲があれば オリジナル・アルバムを購入していくと良いでしょう。 というより、レコーディング・バージョンも、興奮の LIVE バージョンとは 別物として、しっかり聴いておくべき。 先に述べた 「 ロマンセ 」 シリーズや 「 アリエス 」 はこの LIVE と 同時期のものですが、リリースから10年を過ぎた今 古く感じるどころか、もはやそれ自体がスタンダードとして 数えられようとしている名盤です。
彼が選ぶ歌は、ポップなものもあれば スロウ・ナンバーもありますが、どれも 普遍的な内容のラヴ・ソングですし 流行を追ったようなものではないのですね。 あたりまえに 「 本格派 」 なのです。 なのに大きな会場に集まった、若い女性の嬌声( 時には大合唱! ) は セクシー・アイドルに向けられるそれの如く鳴り止まない。 不思議な魅力の人です。 スーパー・スターというのは彼のような人なんでしょう。
(DJ KAZURU ★ 2006/09/25)
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