数年前までは 超人気オルケスタであるバンボレオの看板歌手として 力を見せ付けていたバニア嬢。
初ソロはそんなイメージを一転し スロウ中心。 エレガントなラテン・ジャズ仕立てとなりました。
しかも、数々の名曲を世に送っている スペインのシンガー・ソング・ライター アレハンドロ・サンスの曲集とくれば 期待感も高まろうというものですね。
バンボレオ時代にも風格すら感じさせた バニアの典雅な立ち居振る舞い、あれは実に 印象的なものですが、それを 思い起こさせるような歌唱を本作では存分に発揮。 普遍性のある 胸をうつ楽曲群を前にしても、まったく劣らぬ彼女の ひたむきな歌心に拍手を送りたい気持ちです。 サンスの楽曲とバニアは予想以上の相性。 加えて、ミュージシャンをキューバの第一線級で固めているので 例えばイサック・デルガード・バンドなどで活躍している ロランド・ルナのピアノ・ソロなど、聴き所も多く 歌以外の面でもかなり楽しめます。
♯1は特に 色々なカバー・バージョンが流通しているように思いますが 収録曲のどれもが有名曲ばかり。 そこを彼女の自信、と読み取ることも出来ます。
♯4も誰もが名曲と思うでしょう。 私も作品中、最も好きです。 大人の女性にしか出来ないであろう こみあげ感を演出しているバニアの表現力。 元曲の良さを十二分に差し引いたとしても 胸に迫り来るではありませんか、泣きそうになってしまうではないですか。
名の通ったオルケスタ出身といえど 独立後に発表したソロ作品において 一枚のアルバムに自分自身を詰め込み、それまで以上の 輝きを放つというのは大変難しいことです。 歌唱力を評価されるということと、アルバム制作が成功するというのが すべからく、イコールな関係とも思えません。 バニア嬢はソロ作品をリリースするにあたり 相当な成功(アルバム全体としての充実)を収めた部類に入るでしょう。
(DJ KAZURU ★ 2006/12/04)
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