( ジャンルとしての )フュージョン音楽を代表するような ギタリストのハイラム・ブロックが自ら 「 スパニッシュ・アルバム 」 と コンセプトを打ち立てて発表したのがこの作品。
都会的で、聴きやすい大人のための フュージョンとしてももちろん充実したアルバムでありますが ラテン音楽のエッセンス、中でもアフロ・キューバンの要素が 美しく感じられ、ラテン音楽愛好家にも見逃せない一枚となりました。
なぜ彼がこういったアルバムを作ろうとしたか 興味深いところですが、ハイラムはなんと大阪で産声を上げ その後パナマ共和国で育ち、さらにウルグアイ( カラスコ、とは すなわちウルグアイの海岸にある街の名。また♯5の モンテビデオとはその行楽地 ) へ渡ったという 経緯があり、その後さらに移り住んだのが マイアミ、NY とくれば、おのずとラテン音楽が彼の音楽性に 影響を及ぼしてきたであろうとことは想像に難くありません。
ハイラム独特の倦怠感を漂わせた フレージングとラテンの要素があいまって、なんとも クール。
時折、他ジャンルで活躍している音楽家が 思い入れたっぷりに、ラテン音楽一筋に 突き詰めている音楽家には思いつかないようなことを すうっと、やってしまうことがありますが 本作はまさにそういった趣。
タニア・マリア・バンドのベーシストや パキート・デ・リベーラ・バンドのパーカッショニストなど 共演者は充実。選曲も 「 風のシルエット 」 から スティービー・ワンダーの名曲まで これがラテンになったら面白いだろうと思わせるものを きちんと取り入れているというぬかりのなさで その一流ぶりを見せ付けられた気が致します。
(DJ KAZURU ★ 2007/01/02)
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