リード・ボーカルとコーラスの4名が姉妹のファミリー・バンド。 サウンドは '97 当時、キューバ人の心を捉えまくっていただろうなと 思われる類のティンバ。 ボーカルがあどけないといえば、それも魅力の一つですが どうも垢抜けない印象をもたらすのは、彼らがハバナで誕生したバンドではなく マタンサス出身ということも関係しますかどうか。
腰を直撃するタイプのビートを基本に、全ては 何もかもを忘れて踊るために、と 言わんばかりの直球ティンバですが、いかんせん 10年を経た現在耳にしますと、音の薄さに一抹の寂しさを感じます。 それも、彼らが世界を見つめたのではなくて ハバナで高みに上ることを目標にすえていたのなら納得です。
キューバのアーティストは、世界レベルで誰もが 考え付かなかったであろう思わぬツボを突くことを得意とし それゆえに、他ジャンルの要素を取り込むことにも長けています。 が、カロ・バンドにおきましてはキューバ人がキューバ人の枠を超えることなく それこそ外国の文化はひとまずおいておき、といった風情で 「ティンバ」を演奏する快感だけを求めて作品を残したように思えます。 ラップの取り入れ方にしても同様で、そこには別段 フレッシュな何かは存在しないので、ああラップだなというだけに留まっています。
しかし、当時のティンバ・サウンドの勢いはやはり評価すべきです。 より複雑化(時には歪曲化)し、面白くなったのも、つまらなくなったものも 現れてきた2000年以降のキューバのダンス・サウンドに比べまして 何というストレートさ。 ここには当時キューバの誰もが世界に誇った「進化系の音楽」である ティンバの明るさが十二分に詰まっています。
(DJ KAZURU ★ 2007/02/12)
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