キューバにはトローバと呼ばれる古くからの音楽の流れがあります。
代表的なアーティストは、マリア・テレサ・ベラなど。 弾き語りの吟遊詩人で、欧米ではフォーク・ソングに該当しますが、そこはキューバ、ギター1本でもラテンのメロディやリズム感が際立っているのです。
革命後 1960 年から 1970 年代に入ると、パブロ・ミラネスやシルビオ・ロドリゲスという巨人が登場。 ヌエバ・トローバという呼び方になり、歌詞は政治的な内容を含んだものになっていきます。
今回紹介するダビ・アルバレスは、アマウリイ・ペレスなどと並んで、パブロ・ミラネスやシルビオ・ロドリゲスに続くヌエバ・トローバの新興アーティスト。
2000 年にイギリスのレーベルTUMIからリリースされた 「 Mundo Loco 」 は彼のデビュー作ですが、なかなかの秀作でした。
ヌエバ・トローバといっても、この作品にはオリエンテよりのキューバン・サルサのリズムをベースにした楽曲が多く、ダンスにも対応。かどの取れた音の重なり合いにティンバにはない魅力が感じられます。 特に、タイトルの Mundo Loco はしみじみとした好曲。 Pedr Luis Ferrer のバンドにもいたようなので、新人といってもキャリアはしっかりと積んでることが伺えます。
またこのアルバムは、ピアノにチューチョ・バルデスがゲスト参加し、プロデュースに名アレンジャーのホアキン・ベタンコーがあたっていることも特筆すべき点。 裏方の力がダビ・アルバレスの才能を引き出し、トータル・カラーのはっきりした作品に仕上げています。
ヌエバ・トローバも時には聴いてみたいという人には、お勧めできる一品です。
(福田カズノブ ★ 2007/03/25)
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