Ritmo Oriental の 2000 年の作品。
Charanga Habanera のリーダー、ダビ・カルサードや NG La Banda のトニー・カラを 1980 年代に輩出した名門バンドですが、1990 年代以降は第一線から退き話題に上ることも少なくなっていました。
ところが、久々のリリースとなったこの 2000 年の作品は、話題には上りませんでしたが、彼らの近年のベストであるばかりか、聴き逃せない内容がつまった1枚でした。
1 曲目は初期 Los Van Van 調のエッジの効いたナンバー。 リーダーのエンリケ・ラサガの代表曲ともいえる出来で、一度聴いたらそのメロディが頭にこびりついて離れません。
様々な楽器奏者がバンド・リーダーをしていることでは群を抜いているキューバですが、ギロ専門の奏者がリーダーなのはこのリトモ・オリエンタルだけ。その彼が創り出すリズムの刻みがこのリトモ・オリエンタルの最大の特徴となっているのです。
2 曲目は一転してボレロ。そして 3 曲目はダンソン。4 曲目はスタンダードのキサス キサス キサス。いずれもモダンなアレンジで古臭さはまったく感じられません。
そして 5 曲目は明らかにティンバを意識したソン。フルート、バイオリン、ティンバレス、ギロというチャランガ編成をそのまま生かしてティンバを演奏した好例でしょう。流れるようなグルーヴにボーカルのトニー・カラが光ります。
6 曲目はグアヒーロをティンバにアレンジしたもの。バイオリンとフルートが鋭角に入り強烈なグルーヴを出しています。
7 曲目はロマンチックなボレロ。アルバム全体がドラマティックな展開になっています。8 曲目はミディアム・テンポのチャチャチャ。チャランガ編成のおはこといえる曲調です。9 曲目はダンソン。
10 曲目は、アンヘル・ボンネがボーカルをとるナンバー。チャランガ編成の Los Van Van を聴いているようで不思議な味わいがあります。
11 曲目はボレロでラストはピアノ・ソロが活躍するデスカルガ・ナンバー。
リトモ・オリエンタルの健在ぶりを見事に示した内容ですが、 なんといっても名曲といえる 1 曲目から、モダンなスロー、ミディアム、そしてファンキーなティンバがちりばめられて、聴いていくとまるで映画を見ているような感じになるほどです。
まさに隠れた名盤というに相応しい作品です。
(福田カズノブ ★ 2007/04/16)
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