今回はキューバ無関係です。 コンコード・レーベルからピックアップされた ラテン・コンピレーションです。
本当は♯1が収録されているタニア・マリアの オリジナル・アルバムを紹介しても良かったのですけれど それをブラジル音楽を専門としない私が挙げるには あまりに図々しいだろうと そういった思いで程よくラテンミックスされたこのコンピレーションを 選ばせていただきました。
そういうわけですから、♯7や♯11や♯12あたりのものは 実はどうでもいい。
とにかくタニア・マリアの奇跡的に心を揺さぶる演奏を お聴きになって戴きたいのです。
♯1はイントロからフェイド・アウトしていくラストまで完璧です。 言ってみれば 「踊りたくなるリズムでとても明るさに満ちているのに なぜだか涙が溢れそうになる。奇妙な祝祭感に包まれた曲」 なのですが、これをそのまま伝えたところブラジル音楽に詳しい方は 「それこそがサウダージじゃないの」と 仰いました。
ああ、そうなのですね。 望郷の心というだけでは確かに足りない この混沌とした、表と裏がないまぜになったような気持ち。 それを表現するのにこんな便利な言葉があったとようやく 私は気が付くに至ったのです。
ところで、この曲をコンパイルしたラファエル・セバーグ氏 自身のライナーノーツによると、これはDJした時にミステイクで かけてしまった曲だが、とても気に入ったとあります。 ならば、氏のミスに感謝致しましょう。 他にも偶然みつけたよい曲などが収められていたなら もう少し、レア度の高いコンピレーションになったかも知れません。
とはいえ、フローラ・プリムの曲(♯4)などは大変素敵です。 コンコードというレーベルのセンスがよく現れている一曲。 つまりはデスカルガ・ラティーナといいつつも ブラジルに特化して耳を傾けてみよ、と。 今回はそういうことです。
(DJ KAZURU ★ 2007/05/21)
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