キューバ音楽のアイデンティティーの1つルンバ。
パーカションやアフロ・キューバン・ダンスに興味を持ち、実際に踊ったり演奏したりする人は教則ものとしてルンバのフル CD を何枚も持っていると思いますが、 ティンバ・ファン、サルサ・ファンは意外と持っていなかったり、ルンバだけで1枚聴き続けるのはツライと感じている方も多いのではないかと思います。
そういう人にお薦めなのがこの企画 CD 「 La Rumba Soy Yo 」。
ルンバ界のトップ・バンド、Los Münequitos De Matanzas、Grupo Clave Y Guaguanco、Grupo Yoruba Andabo、Los Papines が名を連ね、いっぺんに聴く事ができるばかりか、 この企画ために編成されたバンドをバックにトップ・ボーカリスト、Issac Delgado, Haila Mompie, Mayito Rivera, Aramis Galindo、Sixto Llorente "El Indio"、がそれぞれルンバ・テイスト溢れるティンバを歌っているのです。
さらに、バンド・メンバーにも蒼々たる顔ぶれが集結。 元クリマックスのピアノ Tony Perez やベースの Robero Riveron、パーカッションの Yonder Pena、トランペットには名手 Alexander Abreu をはじめ、パーカッションの神様 Tatá Güines や Changuito までもが参加。
メンバーだけで素晴らしさが伝わってしまいそうですが、この作品の注目すべき点は別のところにあります。 それは 「ティンバがソンよりもルンバの方により近い」 のだという仮説を見事に証明していることなのです。
1 曲目はルンバとティンバが1対1で激突したナンバー。Aramis Galindo の熱唱が光ります。3 曲目は Issac Delgado が歌うルンバ。彼の歌唱のルーツがルンバであることがよくわかります。他にも Haila Mompie, Mayito Rivera がまさにルンバ・テイスト溢れるボーカリストとして登場。 その曲間をルンバ・ナンバーが交互に挟みこまれ作品として一体感あるものにしています。
忘れてはならないのがアレンジャー陣の仕事ぶり。 総合プロデュースはホアキン・ベタンコー、そしてディレクトールにヘルマン・ベラスコ、ファン・マヌエル・セルート、ダゴベルト・ゴンザレスとこれ以上ない面々。
この作品は、キューバ独自のルーツ・ミュージックであるルンバが、コンテンポラリーなサウンドに直結していることを証明したという価値とともに、楽曲をそのまま楽しむことも出来る、企画物としては珠玉の傑作といえましょう。
(福田カズノブ ★ 2007/06/11)
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