恰好いい、の一言なのです。
CDをセットして、最初の一音が鳴り響いた瞬間から いや、なんとも大人の音楽が始まってしまった。というこの感じ。 もちろん夜に聴くべきサウンドだと思っています。 ♯3なども冒頭の曲に負けない「夜っぷり」(フリー・ソウルものの 一部には「涙しつつ踊る」と言われる楽曲が、いくつか存在しておりますが そのキューバ版といったところ。切なさ充満攻撃に留まらず、しっかりと ダンス・ミュージックであるという点がまさに重要なのです)。
オスワルド・チャコンその人のプロフィール はたまた華々しいキャリアについては当レビューの第三回目を ご参照いただくとして、彼の 時に気だるく、大いに官能的なボーカル・スタイルは 比類なきもの、と断言させていただきます。 気の毒なほどに貧弱なルックスからは、イメージできない セクシーな歌い回しです。
腰を揺さぶる、というよりは 胸を鷲掴みといったほうが近いのではないでしょうか。
ソロ活動当初は、ティンバの進化形(バンボレオとはまた 別の意味で)という表現が ぴったりのようでしたが、リリースから5年をゆうに過ぎた今 非常にオリジナルな世界観のある人だったのだなと思い当たります。 歌唱だけではなく、作曲センスにも卓越。
現時点では2枚のフル・アルバムが存在しております。 嗜好の問題と言えばそれまでですが、 セカンドアルバムよりもキューバのアーティストであることを より強く感じさせてくれるこちらのほうが、やはり好きです。
現在もイギリスにて活動しているチャコン。 彼の音楽性から言っても、キューバを脱してヨーロッパに 拠点を置いたことは正解だと思っています。 ヨーロッパに生息するキューバの才能としては、今後の 可能性も視野に入れたら随一でしょう。
(DJ KAZURU ★ 2007/08/06)
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