私も大概「こみあげ系」などと言っては その作品をうっとりと語るということを続けていますが アレハンドロ・サンスほどこみあげている人もいないわけで ラテンかつこみあげ、ということになりますと 彼が代表格になるかと思うわけです。
しかも作曲能力ということでは 天才、ですからね。 セクシーで、こみあげで、天才。 まったくどうかと思うくらい彼は美しく訴える曲を 作る人です。
一時アンプラグドなるライヴ形態が流行りましたが サンスも例外ではなく、アンプラグドのライヴCDを リリースしています(しかしアンプラグドというならば 一切の電気機材を排除すべきかと思うのですけど、アンプラグドという 名前のついたもので完全排除のものに出会ったことがありません。ポピュラー 業界のシステムというのは不思議なものです)。 しかもこれはれっきとしたMTVのアンプラグド(クラプトンや マライア・キャリーを筆頭に、いくつものアンプラグド・アルバムが 世界的大ヒットに至りました)で、ラテン系初ではないものの スペイン人としては初。 マイアミで録音されたこの作品からは、彼の 「あー、俺もここまで来たぜ」的な 誇りが垣間見えてきそうです。
♯1から総てが、と言っていいでしょう サンスの名曲集です。 こみあげまくりです。 アコースティックでも豪華なサウンドがとてもしっくりくる。
単なるベスト盤ではなく、こういった纏まりの中で 耳を傾けると、サンスの力量が分かりやすいようにも思います。
独特のハスキーな声がまずは彼の魅力ですが 只でさえ名曲なのに、彼の切々としたボーカル・ワークで 歌われるとひたすらその世界の中に自分が取り込まれていくようですね。 こうした「切なさ」というものは 民族も言葉も超えた普遍性があります。 これも、サンスが多くの人々に支持されている所以。
サンスは素晴らしいアルバムをたくさん出していますので これがベストという気はありませんが、マストな一枚ではあるでしょう。 是非、じっくりと聴かれますように。
(DJ KAZURU ★ 2007/09/06)
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