オランダはアムス発信のサルサ。 サルサですよ つまりは本作品においてキューバ系の質感は メインとなるものではありません。 では私の中の何を刺激するかというと 大人の音楽だなあと、その一点です。
Davis Rothschild なるトロンボニスト。 なかなかのセンスの持ち主でありまして、カリブ生粋の 感覚とはまた微妙に異なるテンションで 衒いもなくジャジーさを前面にだしつつ ラテンを演奏しております。
とはいっても選曲からも想像がつくように 非常にオーソドックスな 攻めではあると思うのですけれどね。 ガツガツ感のない、大人っぽい演奏にかなり好感。 ダンス音楽としてだけではなく 部屋でゆっくり過ごすときのお供にもなるでしょう。 およそ10年前にこれを耳にしたとき、オランダにも こうした音を繰り広げている人がいるのだなあと 感心したものですが、日本人だってティンバを演奏する人が いっぱいいるわけで、何の不思議も御座いません。
やはりオランダの女性ラテン・シンガーなどが それぞれの楽曲で歌を入れていますので、一枚まるごと 飽きずに聴いてゆける(特別ゲスト、アダルベルト・サンティアゴ とかいうインフォメーションはここを読んでいる方々の 大半には無関係でしょうね、私も実際の歌唱を聴いたところで 特にはどうとは感じませんでした)。
当ディスクレビューに対応していうならば 4曲目は♯94のチャランガ・アバネラのバージョンと 5曲目(意外に思われるかもしれませんが、私は ウィリー・ロサリオのこの曲をかなりの名曲と思っています)は スイート・エスパノーレ・シリーズの どこかに収録されているバージョンと お聞き比べになってみるというのは如何でしょうか。
それにしても彼のお名前は ボルドーの名シャトーを思い起こさせますね。 ムートン・ロートシルト同様のエレガントさに満ちている、と 評してしまうにはもう一歩、というところなのですが 良質な一枚ではあるでしょう。
(DJ KAZURU ★ 2007/10/15)
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