いとうせいこう 著
「想像ラジオ」 拝読。
いわゆる3.11. 以降に
その深い悲しみを扱った
作家はいっぱいいたと
思うのですが、あの出来事を
自分の筆に置き換えるということに
どんな意味があり、やり方があるのか
・・・とても
難しいこと。
いとうせいこう氏は
死者の気持ちに寄り添って
実に多くの声を
ここで代弁する、ということに
成功したのではないかな。
冒頭、状況がよくわからないまま
ラジオの放送が
流れるわけですが
喋り続ける「DJアーク」が
「町を見下ろす小山に
生えている杉の木の列の中。
細くて天を突き刺すような
樹木の殆ど頂点あたりに
引っかかって、あおむけになって
首をのけぞらせたまま
街並みを逆さに見ている」
ことを知った時
ハッとなり
あとは死者の言葉、残されたものの
言葉の連なりに
引き込まれるばかりでした。
物語の力。
伝えたいことが
あるということの力。
少し間をおいて
再読を重ねたいものです。
(DJ KAZURU)
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