宮尾登美子先生にしては
ちょっと異色? な長編。
江戸期の料理屋の
トップに君臨した
八百膳が昭和20年代、30年代と
いかに店を復興させようとし
また苦戦したかの物語。
昭和も40年くらいまでは
正式な妻のほかに
女性を囲うということが
一部の人の間では
普通に行われており
そういう座に収まることも
女のひとつの着地点であったことが
わかります。
ひとつの料理屋の中で
雇用主と雇い人の関係だったと
みえたものが
実は男女の関係だったりして
八百膳に嫁いできた
「余所者」のお嫁さんは
大変苦労します。
クサクサすることも
いっぱいの毎日の中で
お嫁さんは
これではいかん、と
長唄のお稽古をお姑さんに
つけてもらい、慰めとしますが
「都鳥」という曲を
練習するにあたり
「翼かわして
濡るる夜は」
とか
「思い思ふて深み草
結びつ解いつ
乱れ合うたる夜もすがら」
の歌詞に反応して
ちょっと
恥ずかしい気持ちになるあたりが
可愛いです。
私もお稽古した曲ですが
こういう色っぽい曲さえ
さらーっと(含み心で)唄うのが
江戸前の心。
気分だしてちゃあ
いかんのです。
追記
(DJ KAZURU)
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