今月の「新潮」すごいぜ。
水木しげる先生が
出征する前に残した
日記が掲載。
昭和17年10月、11月の
ごく短いものですが
毎日戦時下の己に向き合い
哲学、宗教、芸術に
思いを馳せ
悩む様子が素晴らしい文章で
読むことが出来ました。
水木先生は
近年も戦争でどんなに
人間が破壊されるかを
語っていますが、リアルな
青年期のものを
まとまった形で拝読できるのは
珍しいこと。
時代の波に誰もが
飲み込まれて
思考停止になってしまっていても
おかしくないところ
若き水木先生は
自分の言葉でものを考えています。
書くことで
思考を深めようとしていたのかな・・・
このあと戦地で
上官に殴られ続け、戦闘中片手を
失って帰国したわけですが
悲惨な体験のその前の
記録としていろいろなことを
示してくれます。
昭和17年10月6日
電車の中にてもあれ
隣組にてもあれ
愛と真実の不足を感ず。
(中略)
将来は語れない時代だ。
毎日五萬も拾萬も戦死する時代だ。
芸術が何んだ哲学が何んだ。
今は考へることすら許されない時代だ。
画家だらうと哲学者だらうと
文学者だらうと労働者だらうと
土色一色にぬられて
死場へ送られる時代だ。
人を一塊の土くれにする時代だ。
昭和17年10月13日
吾は死に面するとも
理想を持ちつづけん。
吾は如何なる事態となるとも
吾であらん事を欲する。
(DJ KAZURU)
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