領家髙子 著
「向島」拝読。
向島の若き芸者が主人公。
近所との密な付き合い、花柳界
ならではのしきたり、エピソードの
ひとつひとつが、現代という設定を
信じられないくらいでしたが
実際、村社会みたいなところがあって
こうやって生きている人もいるのかな?
主人公は
芸者を真面目につとめていて
客あしらいも心得たもの、なのに
20代半ばになっても男性経験がなく
いきなり紹介された
和菓子屋の主人を「旦那」にむかえる・・・
「覚悟はできています」
とかいって。
昭和初期ならわかるんだけど
面白すぎる。
初恋の人との洋食屋
デートにもきもので行ったり
家では浴衣でくつろいだり、毎日
ヘアセットに美容室通ったり
ディテールの面白さと
言葉のきれいさで一気読みでした。
娯楽小説も、文芸小説も
言葉や動きの汚い人が
出てくるものばかりだとうんざり。
作者も花街には縁深い人の
ようですが、この世界の人達は
立ち居振る舞いも、言葉遣いも
きれい。
落ち着いて読めます。
(DJ KAZURU)
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