この正月に読んだ本は「悼む人」。
天童荒太という作家は数年に一度しか作品を
発表なさいませんが、その分丁寧に書かれた
作品を届けてくれます。
「永遠の仔」も本当に素晴らしかったけれど
新作「悼む人」は簡単に感想めいたものを
書くことすら憚られる、深い深い小説でした。
悼む、という言葉は冥福を祈る、という
言い回しに比べたら一般的ではなく
それこそ弔電の定型文でしかお目にかかることもありませんが
私は好きな表現です。
この小説においても主人公は
冥福を祈らず、ただ悼みます。
作家はこの小説を書くに当たり
恐ろしい量のノートを作ったといいます。
言葉がその行程の中でそぎ落とされていったことを
感じることが読者にもできます。
安易な言葉のないことが、清々しいのです。
小説の終りに、大きな希望を見ることが出来ました。
しかし、内容をしっかり理解したとはいえず
すぐに再読をする予定です。
(DJ KAZURU)
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