Event

2023イヴェント休業中、各コラム更新中《TIMCUBA動画有》

18644 2023年現在timcubaのイヴェント休業中です。 コラムは随時更新していますので 各メニューを選択してくださいませ。 https://youtu.be/BELIZJu0ruM 2014年の過去動画ですが 六本木で思いきりダンスと音楽を味..

2/10 復活TIM★CUBA

17568 2/10 麻布トロピで久しぶりに ティンクーバやります。 DJ KAZURU が昔作った キレッキレのリミックス中心。 翌日が祝日なので ゆっくりお楽しみいただければ幸いです ************** La Tropi Azab..

2/1 イサックを語る

17586 下北沢ボデギータで 福田カズノブがイサックデルガードを語る マニア向けのイベントです キューバ料理もご注文いただけます ..

1

大岡昇平 著
「野火」拝読。

冒頭
肺病病みとなった
主人公の兵隊は
食糧補給もなくなった
レイテ島で
部隊にも戻れず
病院にも入れてもらえず
死ね、と
宣告される。

それがお前に残された
最後のご奉公だと。

そして
部隊を離れ、飢えと
いつ襲われるかもわからない
恐怖の中で
彷徨がはじまるのだけれど

私は
とにかく生涯最後の幾日かを
軍人の思うままではなく
私自身の思うままに
使うことができるのである。

という
思いで彼は歩いていく。

終始、胸をえぐられるような
描写がつづき、それが
肉体の痛みというよりは
人間の精神の、哲学に
よるものであることが
つらく感じるのでした。

これは紛れもなく
戦地で日本人が体験した
ある一面であり、知っておくべき
史実が多分に含まれていると
思うのだけれど
大岡昇平という素晴らしい
作家の手によって
書かれたからこそ
重要な作品になったと思われます。

神経のゆきとどいた
文章を練れる作家だったからこそ
この衝撃的な
テーマが激情に駆られたものではなく
じっくりと迫ってくる。
一行、一行
しっかりと読める作品でした。

何かと取りざたされる
人肉食のくだりも、ああ
こんなふうに筆を運んだのかと
もう敬服しかありません。

かつて私が
切断された足首を見た河原へ
私は歩み出した。

葦の中で臭気が高くなった。
そして私は
ひとつの場所に多くの足首を見た。

足首ばかりではなかった。
その他人間の肢体の中で
食用の見地から不要なあらゆる部分が
切って棄てられてあった。

陽にあぶられ
雨に浸されて
思う存分に変形した
それら物体の累積を
叙述する筆を私は持たない。

しかし
私がそれを見て
何か衝撃を受けたかといえば
誇張になる。
人間はどんな異常の状況でも
受け入れる事ができるものである。
この際彼とその状況の間には
一種のよそよそしさが挿まって
情念が無益に搔きたてられるのを防ぐ。

私の運の導くところに
これがあったことを
私は少しも驚かなかった。

これと一緒に生きていくことを
私はすこしも怖れなかった。

神がいた。

ただ私の身体が
変わらなければならなかった。

(DJ KAZURU)


Add A Comment