1993
EGREM CD054
1. Me quede con ganas
2. Candelina ale
3. Como ma ha insultado
4. Para tu altar
5. Solo vivo por ti
6. Desavenencias
7. Yiriyiribon
8. La dama del son
9. Y siempre dimos mas
10.Arrebatado cha cha cha
11.Procuro olvidarte
12.Te quedaras
13.A santa barbara
14.Poupurrit de cumbias
キューバの名プロデューサーと言われる人には、驚くような
アイディアと、理論を持つ人が少なくありませんが
Joaquín Betancourt は中でも重要な人物です。
その妻であったジャクリン・カステリャーノスが1993 年に発表した
この美しいアルバムは、当然彼の采配によるものです。
これは
ジャクリンという魅惑的な女性歌手を看板に、ホアキンが
思うがまま手腕をふるった作品、ということもできるでしょう。
ジャクリンは、1987 年には伝説の”opus13″のコロに
参加していますから、アルバム制作時のキャリアも充分。
冒頭、♯1 から切なさたっぷりに歌い上げるジャクリンの声、
すべらかで、説得力があって、こんな声で語られたのならば
嘘も真実になりそうな勢いです。
そして、ジャジーな展開に心を掴まれ
1993 年のキューバ音楽は、こんなにも成熟していたのだ、と
改めて、感服するのです。
♯11 のこみあげ系、♯10 のチャ・チャ・チャも好きですが
中でも♯5 は名曲にふさわしく、リリースから10年を過ぎてなお
褪せることのない、輝きを持っています。
なんという完成度、歌手の魅力全開。
—
ところで、ジャクリンは
今や世界中からラブコールの絶えない
ハイラ・マリア・モンピエに歌手の道をすすめた人でもあります。
それまで、ハイラはずっと、ダンスで活動していたのですね。
ジャクリンは、娘の友人だったハイラに
「なぜ歌わないの? もう踊りはいいから
歌を歌いなさい」と言ったそうです。
当時、彼女は 夫・ホアキンとのソロ歌手としての活動のほかに
伝統的なセプテートの歌手としての仕事も抱えていましたので、
とても多忙だったのですね。
ですから、セプテ-トの仕事をハイラに託したという経緯があったようです。
そこがハイラの、プロ歌手としてのスタートだったのです。
約1年、ラス・アベニーダスというキャバレーで
セプテートの仕事をし、その後アバナ・ソンに加入。
そこからあとは あっという間にキューバを代表する
地位にまで のぼりつめたといったところでしょう。
当然、ハイラは現在でもジャクリンとの間に生じた
不思議な縁を、忘れていません。
ジャクリンは、自分が一流の歌手であっただけではなく
後に続くべき、優秀な若手の発掘にも一役かっていたことになります。
事実、のちのキューバには
美しく、人々の憧れをさそう、女性の歌手が増えました。
「キューバ女性の魅力」を充分に自覚して、さらに迫力ある
振る舞いでステージにのぼる彼女達は、眩しいほどです。
あなたが、そういった姿に惹かれると感じたならば
一度は、その「先輩」であるジャクリンの歌声にも
耳を傾けなければならないでしょう。
(DJ KAZURU ★ 2005/09/12)
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