橋本治 著
「義太夫を聴こう」 拝読。
友人からのプレゼント。
私も長唄のお稽古をスタートさせて
数年。
どうしても古典芸能のお稽古は
意味よりも、形が重視されるところがあって
ただただ師匠の演奏をなぞっていくだけの
日々が続くなあ、という気持ちに
陥るときもありました。
そもそも三味線音楽は
どのような役割なのか、何を表すのか
舞踊との関係は、など「音楽の前提」があれば
全然違ったものとして
しっかり捉えられるのではないかという
思いももっていました。
そこへきてこの本。
序盤から目の離せなくなるような
話の展開で、びっくりしました。
古典芸能に興味を持った人が
辿る道をばっさり切り捨てて
「このように接するべき、こうすれば
分かる」という道筋を示してくれています。
しょせん、我々現代人の生活は
江戸期のそれとは大きく違うもの、なのに
同じテキストに心を動かせというのは
無理があるんです。しかし
帯にもあるように
「義太夫は日本の心」であることは
間違いない。
橋本治という人は
確かにそこにある日本の心、しかし
現代人には理解不能になっているもの、を
翻訳してくれる人でした。
なんかもうあっぱれと言う気持ちです。
「日本の教養人はシェークスピアの
芝居なら知っているけど
日本の代表的な戯曲の内容をほとんど知らない」
というくだりも出てきますが
本当にそうなんですね
シェークスピアにも人間のすべてが
込められているとは思いますが
義太夫にも「人間の情」のすべてが
込められているなんていうことも
聞いたことがあります。
今後、古典芸能には
しっかり接していきたいものです。
(DJ KAZURU)
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