有吉佐和子「一の糸」拝読
商家の箱入り娘が
文楽の三味線方に惚れて
障害は多かったものの
愛を貫くおはなし。
最近、人形浄瑠璃にも
興味が高まってきたのですが
三味線の中でも
太竿といわれる低音が出る
楽器を使いますので
やはり男の楽器という感じがします。
商家の娘さんは
一途な気持ちで三味線弾きを
追いかけ
17歳の時に、思いを遂げるものの
相手に家庭があるとわかり
断念
37歳の時に相手の嫁が死んだので
再会を果たし、妻となりますが
それまでの
安穏とした暮らしから一転して
関東大震災
空襲を乗り越えて
旅館業でも成功します
一方の男の方は
女にだらしないほかは
ただただ三味線の道を極めること
それしかない愚直さで
芸の道とは
こういうものかなあ、と
女房子供と
楽しく家庭を保ちながら
芸を極めている人も
大勢いるのでしょうが
どこか欠陥品のような
生き方をしないと
芸事に向き合えない
そんな人もいるように感じます
ドーンと
お腹に響く三味線の音が
聞こえてくるような
小説でした
そして
女の目線で挟まれる
業界のディテール描写!
現代でも
立派に男社会ですから
女が男の理不尽な理屈に
ほんろうされていることは
あるんだろうな。
*DJ KAZURU*
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