1. Arrasando
2. Si No Quieres Tú
3. Tú A Lo Tuyo, Yo A Lo Mío
4. Me Trajo Dos
5. Que No Te De Por Eso
6. La Rumba No
7. Este Amor Que Se Muere
8. Me Mantengo
9. Dame La Luz
10. Mi Songo
11. Un Tumbao Pa’ Los Dos
12. Olaya
13. El Travesto
キューバ音楽界全体、世界中のキューバ音楽ファン、
そして多くのキューバ人が待ち望み何かを期待してすらいる作品。
LOS VAN VAN の新譜 「 Arrasando 」 は
王者の風格をもったまさに力作といえる出来でした。
そんな LOSVAN VAN も、結成以来40年間トップグループには
いましたが、必ずしもNO.1ではなかった時期がありました。
1990年代初期からは、NG LA BANDA、ISSAC、
CHARANGA HABANERA らティンバ勢に席巻されて
LOS VAN VAN はその中に埋没していたのですが、
1997年には傑作曲 Cabeza Mala を、1999年には名盤
「 Llego Van Van 」 を発表し存在感を示したのです。
その後、2000年前後に主要メンバーのプーピと
ペドリート・カルボが脱退。新メンバーを入れてバンドを立て直し、
2005年に名作 「 Chapeando 」 をリリースして、
また名実共にキューバのトップ・バンドに返り咲きました。
今回の作品は、「 Chapeando 」 の続編という
サウンド・カラーですが、その中に様々な変化がありました。
各曲を取り上げながらそのあたりを見ていきたいと思います。
まず1曲目、これはLOS VAN VAN が1974年に発表した第3作の12曲目
「 Son eternos el orgullo y el valor del pueblo cubano 」そのもの。
邦題で 「 キューバ人の勇気とプライドは永遠に 」 というタイトルの
フォルメルのナンバーです。
この曲に、サムエルとボリスのアレンジが加わって、
前作のタイトル・ソングのアンサーとしての出来上がりになっています。
オルケスタ・ロス・バンバンは、強力なリード・ボーカルが4人、
アレンジが出来る鍵盤奏者も2人、
ホーンアレンジの出来るトロンボーンとフルート奏者がいて、
ベースもサブをいれて2人。
1流のバンドがちょうど2つ出来る規模と実力をもっているのです。
この曲はまさにどのバンドも到達できない厚みをもったナンバー。
ティンバとかキューバン・サルサという概念を超越した
ムシカ・クバーナでしょう。
第 2 曲目はマジートのボーカル、ククルッチュの作アレンジのナンバー。
ククルッチュの書く曲は、ピアノの節回しがプーピ時代を
彷彿させるものがあります。
マジートが抑え気味に歌っているのは珍しいですが、
それが逆にいい感じを出しています。
ククルッチョ作は、他にレレがボーカルの第 8 曲目、
ロベルトンがボーカルの13 曲目があります。
8 曲目はアルバム発表に先行して発売になった
レーベル・コンピに入っていた曲。
当アルバムでは最もキャッチーなナンバーでしょう。
ククルッチュはバンバンにおけるヒットメーカーに
成長したといえる 1 曲です。
13 曲目は、2 曲目同様渋いナンバーですが、
ロベルトンは気持ちよく歌い上げています。
彼の各ナンバーはメロディとアレンジが一体化していて、
グルーヴがその中から湧き上がるところに特徴があります。
現バンバンでは、最高のライターかもしれません。
ファン・フォルメルの曲は、ジェニーがリードをとる 3 曲目と 7 曲目、
そしてマジートが歌う 6 曲目です。
3 曲目と 7 曲目は同傾向の作品ですが、
どちらが良いかは好みの別れるところでしょう。
マジートが歌う 6 曲目は一見地味ですが、
ファン・フォルメルが今なお新しいサウンドを模索して
ギターとトランペットを導入した楽曲。
LOS VAN VANが40年コンテンポラリーなバンドとして健在なのは
ファンが常に新しいものを取り入れる姿勢を持ち続けていたからです。
LOS VAN VAN の次期リーダーサムエル作は、4、9、11、12の 4 曲。
彼の作風はキャッチーなメロディ、フレーズを中心に
アレンジを加えていくスタイル。
勢いが身の上ですが、今回はLOS VAN VANの中心ライターとして
いかにもバンバンという肌ざわりを意識しているようで
マイナー調でミディアム・テンポな楽曲が目立ちました。
そしてこのアルバムのサプライズは、ロベルトンの作曲、
ファンの娘バネッサ・フォルメルのゲスト参加、
ルベン・ブラデスの楽曲の採用の 3 点。
ルベン・ブラデスの楽曲は、バンバンにはない都会的な香りがしていて
いつもと違う魅力を放っていました。
ロベルトンはソロ作も録音しているとの噂がありますが
ソロとしてスピン・アウトする日もそう遠くないかもしれません。
バネッサの参加はいよいよマイアミ系キューバ人と
キューバ在住のキューバ人が合流していく未来を望んでいるような、
予測しているような感じがする起用です。
ジェニーとバッティングしそうですが、ファン・フォルメルは
できるならばLOS VAN VANに加入させたいのでしょう。
いろいろなことを感じ、考えさせるLOS VAN VANの新作は、
踊り倒すよりはじっくりと味わう一作でしょうか。
歴史的なバンドの新作をリリースと同時に体感できること、
このことは実は幸せなことなのです。
何年か先、この作品がどのような評価、
位置づけをされているのか今から興味深いものです。
この作品が発表されてからの初めてのライブに行ってきました。
アンコールも含めて12曲中5曲がこの「Arrasando
」からのナンバーでした。
海外ではもちろんほとんどの人がスタジオ録音版の音楽を聴くわけですが、バンバンの真髄はやはりライブだと実感しています。またぜひ日本でも彼ら音楽のパワー、その深み、厚み、を生で感じ取ってもらえたらと思います。
クバニータさん、ブログ読みました。
http://ameblo.jp/cuba2005/
そして写真も!
感動が伝わってくる感じです。
実はそのスタジオ録音の日本盤のライナーを
先日書いたのです。そろそろ全国で発売ですが。
内容は上記のディスクレビューも含め
Los Van Vanを語ったものと新作の解説です。
そのライナーの最後にクバニータさんの
「バンバンの真髄はやはりライブだと実感しています」
と同じことを書きました。
偶然ではなく、やっぱり必然とそういうことになります。
Van Van は。
Add A Comment