高村薫著
「土の記」拝読。
日本書紀の時代から、という
歴史ある
奈良の農村。
女系家族に東京から婿入りした
地質学オタク、研究者肌の男。
奔放さを隠さず
男へ走る女系家族の女たち。
それを嫌って
外国へ出た娘。
いま、男の妻は
植物状態になって
17年、そして死んだ。
その妻のコトも
あらゆる事象も
現実と空想が
いり乱れてしまう。
しかし
土も雨も
育つ植物も
確かなものとしてあり…
幻想ではない
自然に、気象に、人間に
囲まれている。
神戸の震災以後
殺人やミステリーを
書かなくなった高村薫。
このところまた
変化を感じます。
レディジョーカーの時に感じた
ヒリヒリする感触を
この老人の物語に懐かしく
見出しました。
あまりにも多くの
テーマが入っていて
一度読んだだけでは
とても消化できません。
物語では
東日本大震災がおこりますが
現実にこの震災について
ここ数年
高村薫が語っていたことも
反映された描写となっています。
そのあとにまた
自然は猛威を振るいますが
よくぞ
こういった形で
小説として
構築してくださいました、と
感謝したくなるような作品です。
今の日本を
考えるにあたって
とても大切な一冊ですよ。
日本のこれまでと
これからを考えるにあたって
小説という形で
大切な指針を示してくれる
貴重な人。
それが高村薫氏ですよ。
DJ KAZURU
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