杉浦日向子 著
「大江戸観光」拝読。
作者は40代で亡くなった
江戸文化に精通された方。
20歳代で書いたものでも
ものすごい見識深くて
学ぶことがいっぱい。
今回歌舞伎についての
文章ではっとしたのですが
杉浦嬢は
歌舞伎は江戸時代
卑猥、滑稽、残酷、乱雑、を
ウリにしたもので
歌舞伎座イコール悪所であった。
歌舞伎に行くというのは
ちょっと大きな声では言えないような
悪いものであった(それだけに
みんな興奮するほど面白い)
しかし
お上の気に入らない猥雑なものは
潰されるので
近代以降はアップトゥデイトな
作劇をやめて、型の伝承により
高尚化した。
猥雑な歌舞伎を体験したい気もするけれど
歌舞伎を現在、我々が
見られるのは
高尚化の選択をしたからである。
というようなことを
言っているのですね。
これはまさに私が
近年感じていることでした。
若手の歌舞伎俳優などは
「そもそも歌舞伎は
今で言うロックコンサートのような
ものだったんだから」
とか言うんですけど
現在の歌舞伎はロックでも何でもない。
事前に話の筋や
見どころをおさえておかないと
何のことやらわからん演目も
いっぱいある。
わたくしたちは、歌舞伎座で
キャーキャー言うことはないし
歌舞伎に行くといえば
はー、良いご趣味ですねえ
となる。
わたくしが稽古している
長唄も、
吉原で女を買うときあーだこーだ
という
ミも蓋もない歌詞がばんばん出てきますが
やっているほうはクラシック音楽を
学ぶように稽古するんです。
だからつまらないかというと
そうではなくて
杉浦嬢も指摘するように
独特のひずみが生まれて
それが魅力だったりするんですけどね。
とにかく
すっかり高尚になった歌舞伎を
無理やり
そんなに高尚じゃないっすよ
だって江戸時代じゃ。。。とか言うの
やめたほうが良いよね。
DJ KAZURU
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