赤川次郎氏による
文楽本。
解説ではなく
あくまで、いち観客としての
素直な感想と
苦言に満ちた楽しいエッセイ集でした。
十年以上前に書かれたものですが
終始膝ポンでしたよ。
人気作家の赤川氏。
歌舞伎、文楽にとどまらず
ミュージカルも、オペラ、バレエも
幅広く鑑賞しているんですね
ジャンル問わず最高峰のものなら
心を動かされる、という意見に
賛成です。
基本的に文楽の人間国宝クラスの
方々の芸への賛辞がおもですが
一方で
劇場施設への不満(椅子幅が狭い!)や
演目のかかる時間帯についての
不満(勤め人は土日しか通えない!)も
忌憚なくかかれております。
また
アイドル的人気はあっても
まるで芸が錬られていない
稽古不足の
若手歌舞伎役者への
不満(セリフも入っていない!)など
しっかり発言してくれて
まさに
お客様代表という感じです。
こういったエッセイは
赤川氏に関わらず必ず
「私は専門家ではありませんが」
という
謙虚な前置きのもとに展開されるのですが
文楽公演がかかるたびに
劇場に足を運び
地方公演にも年に一、二度行くという人は
立派に
観客の専門家、プロの観客では?
実際に楽器を演奏したり
芝居ができなくても
こういう人の意見が
結局は全てだと思います。
プロの観客がもらした感想を
けしてナメてはいけない。
特に歌舞伎役者のことを
最近ありがたい存在のように
扱う傾向があるけど
彼らの芝居をジャッジするのは
お金を払っている観客なの。
赤川氏の発言を
業界がどう受け止めたかは
わかりませんが、これを
所詮、門外漢の意見よ、と
してしまったら
伝統芸能も終わってしまうでしょうね。
DJ KAZURU
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