2007
La Calle 0883 30044 2
1. La Mujer Que Más Te Duele
2. Medley (Necesito Una Amiga / Qué Te Pasa Loco / La Fórmula)
3. Soñé / La Campaña
4. Cemento, Ladrillo Y Arena
5. Vengo Venenoso
6. Paquito Va
7. En Primera Plana
8. De 2 A 3
9. Deja Esa Gente
10. Como Se Toca, Se Baila
イサック・デルガード亡命後の第 1 弾アルバム。
コンテンポラリー・キューバン界にとって
変革の節目となるかもしれない作品の登場です。
音楽は今やインターネットで世界を駆け巡り
国境などもはやないという意見もありますが、
ことラテン・サルサ界ではキューバと USの確執は
確実に音楽にも影響を与えています。
スペインとキューバを自由に往来できる立場を
もっていたであろうイサックが、
あえて亡命という大きなリスクを伴ってまで
US へ渡ったのか。
音楽面だけで語れば、ラテン・ミュージックの
マーケット発信源がマイアミに集中していること。
そして 1990年代に活躍したティンバ系の
重要ミュージシャンの多くが亡命してしまい
キューバ本国にいなくなってしまったこと
などが挙げられます。
そして今回のスピード・リリースから推察すると、
亡命前にセルヒオ・ジョージとのビジネス契約が
成立していたという見方もできます。
イサックは新たな音楽的フィールドを目指し、
セルヒオはキューバン・サルサのトップ・カンタンテを
自分たちの仲間に迎え入れ、
ラテン・ミュージックの中では後退気味のジャンル、
サルサの活性化を図ろうという
双方の思案が一致したのでしょう。
さて、肝心の音はどうなったのでしょうか。
実はこれが賛否両論が出そうな仕上がりなのです。
1 曲目はセルヒオ制作でビクトル・マヌエルが
ゲスト参加しているナンバー。
イサックの声が、ややベタなサルサ・アレンジに対し
ミスマッチとみるか、素晴らしいとみるかに分かれそうです。
キューバ音楽至上主義者からは、演奏やアレンジの中に
明らかにキューバ以外の音が混ざっていることに、
「私のイサックが。。。」という嘆きの声も
聞こえて来そうですが、
イサックのボーカルは Otra Idea や Primera Noche 時代に
戻ったかのような勢いを取り戻しています。
キューバ音楽ファンが胸を撫で下ろすのは、
7曲目のタイトル・ソングと8曲目。中期イサック・バンド時代の
盟友ベーシストのアライン・ペレスがディレクトールし、
キューバそのもののアレンジを展開しています。
これらの曲の躍動感はどうでしょう。
ここ数作のジャズやヌエバ・トローバよりの作品や
初期のキューバン・サルサへ回帰した前作などと比べると
明らかに新しい境地へ進みつつある勢いがあります。
キューバン・サルサ、ティンバの停滞を打開するかもしれない
久々の音がこの作品には存在していますが、
それがイサックの亡命作というのはファンとしては
複雑な気持ちです。
サルサ側のマーケットでは売れそうな感じです。
いや、その後に続く他の亡命キューバ人ミュージシャン達の
ためにも売れてもらわなくては困るのです。
私はこのイサックの作品 「 En Primera Plana 」 を
指示したいと思いますが、
世界のサルサ・ファン、キューバ音楽ファンは
どのような評価を出すのでしょうか。
(福田カズノブ ★ 2007/05/28 2015/09 加筆修正)
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