今年の一冊目は
重苦しいけど
林芙美子の「浮雲」。
高峰秀子の映画版を見たとき
なんて暗い話なんだ、
さすが成瀬巳喜男!と
思いましたが、その
5倍くらい暗い小説でした。
戦中、仏印で
技官とタイピストとして
男女の関係になったカップルが
復員後の日本をどう
乗り切るかという話ですが
乗り切れず終わってしまいます。
女のほうは
大胆に、
周囲の男を利用するかに見えて
常に利用されてしまう。
仏印のいっときの夢に
すがりつき寂しさ全開。
男は男で、
人から奪い取ってまで結婚した妻にも
不倫相手のタイピストにも
あっと言う間に冷めて
言い寄ってくる女性と
次々に関係してしまう。
おまけにアル中気味。
戦後でなければ
あからさまにならなかったかも知れない
人間のズルさ
怠惰さ
弱さ、が
むき出しに描かれています。
こういう小説を読むと
平和な時代に安穏としているから
分からないだけで
自分の中にも
はかりしれない負の面があるのかな、と
思ってしまいますね。
DJ KAZURU
[…] 浮雲 […]
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