TIM★CUBAディスク大賞2017その2は第2位から第10位まで。
アルバム単位のリリースが少なく、
かつ気に入ったものがなかったので、第9位と第10位は
特別編としてご覧になってください。
第2位はMaikel Dinzaの「Regalando corazones」
サンティアンゴ・デ・クーバ生まれのチェロ、ベース奏者。
HabanaCのベーシストからMaykel Blancoのツアーベーシスト
を経て自身のバンドを率いて独立。Manolitoにも楽曲を
提供したりするソングライターでもあります。
ソンを基調にする楽曲とねちこいボーカルは新人離れ
していて今後の活躍が大いに期待できます。
VanVanの曲のカバーも秀逸。Adalberto Alvarezの系統を
引き継ぐ存在になっていきそうな才能があります。
第3位はAlain Perezの「ADN」
Issac Delgadoバンドを支えてきた名ベーシストのソロ作。
スペイン在住で様々なミュージシャンと交流しその音楽性は
Timbaを超えてキューバ音楽の可能性を広げています。
今作はキューバに戻って自身のバンドを結成したこともあって、
Timbaよりな楽曲群が多め。
現地ハバナではこのAlain Perezバンドがデビュー時の
Alexander Abreuを彷彿させるような勢いとなっているようで、
他のミュージシャンにも影響を与えている模様。
ひりひりするシンコペーションの嵐はまさにキューバ音楽。
ペアダンス向きではありませんが個人的には2017年で
最も衝撃をうけた傑作です。
第4位はManana Club y Papuchoの「Respeta」
クバトンブーム後のバンドとしては頭一つ抜けてトップ入り
を狙える人気と実力をつけてきた2007年デビューの
中堅ティンバ・バンドのアルバム。
ベーシストのPapuchoの楽曲とアレンジはかっこよさがあり
クバトン好きの若者にもOKがでる内容。
シーンを先行するEl NINOとEL NOROを追いかける存在でしょう。
第5位はYasser Ramos ‘El Balacero’ y su 9mmの
「Ni antes ni despues 」。
Manan Club の後を追いかける存在のYasser Ramos。
曲調はEL NINOやEL NOROに近く、アレンジよりグルーヴ
勝負の方向。この手のバンドは一本調子になりがちなので
良いメロディと飽きさせないアレンジ構成が重要。
そこが備われば中堅バンドになれる力があります。
第6位は企画アルバムの「Hoy quiero fiesta」。
Mayco D’ Almaの楽曲を複数のボーカリストが歌う企画もの。
Dantes、Ricardo Amaray、Wil Campa、Haila Mompieなど
大物も参加していますが、明るめ基調のサルサが新鮮で
参加アーティストに乗っかっただけのアルバムではありません。
第7位は「Andy Rubal」のEl Que Busca Encuentra
たまに気になって仕方ない曲にでくわすことがあり
誰が歌っているのかどのアルバムに入っているのか
追いかけまくることがります。
そしてその曲にたどり着いた時の喜び。
デジタル時代は簡単に検索できるので何か資料があれば
すぐに手に入りますがこの努力と喜びが意外と
音楽好きを維持する秘訣かもしれません。
昨年のその曲はAndy Rubalのものでした。
僕にとって出会えて幸せな1曲でした。
第8位は「Roniel Alfonso presenta El Son del XXI」
こちらも企画アルバム。Gardiバンドのディレクトールが
そうそうたるアーティストに曲を提供して展開したもの。
Alexander Abreu y Havana D’ Primera、
El Noro y Primera Clase、Haila Mompie
Issac Delgado y su Orquesta、Mayito Rivera
Sixto Llorente (El Indio)、Wil Campa
Yumuri y sus hermanosなど。
各バンドのオリジナル以上の出来は望むことは
できませんが、そのバンドの演奏は全部欲しいという
人向けです。
第9位は「La Fama Crece」
このバンドはシングル楽曲の配信は行っていますが
アルバム単位の発表はまだです。
クバトン以降の曲調のティンバですが、
勢い新鮮さカッコよさはずば抜けています。
ManolitoのAmarayの新曲といっても納得してしまう完成度。
このままアルバムも作れるように成長していってほしいものです。
第10位「Ailyn Dallera y La Makina Timbera」
ボーカルのAilyn Dalleraとギタ―リストが
Azucar Negraから独立して立ち上げた新人バンドです。
まだ正式な楽曲配信もされていない状況ですが、
音を聴くとなかなかのもの。
2018年はその全貌が明らかになることを期待しての
特別エントリーです。
デジタルの世界ではこんな出来立て新人バンドを
応援できるのも楽しみ方のひとつと考えれば
よい時代になったといえるかもしれません。
(20180106 福田カズノブ)
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