二月に訃報に接してから
ずっと石牟礼道子さんのことを
考えているのだよね。
椿の海の記、で
初めて彼女の文章を読んだとき
持っている言葉の豊潤さと
表現の特異さに
なんだこれは、と
驚きました。
中上健二が描いた
熊野の空間描写を
思い起こしたのですが
そこに住む人以外は
書けないであろう土着なことばと
おそろしく文学的な表現が
共生していて
純度の高い文章がありました。
その後、四十歳代で名が知られるまでは
熊本の貧乏な主婦であった、と知り
更に驚いたのです。
池澤夏樹さんが
石牟礼さんの苦界浄土は
どんな言語に訳しても
耐えうる作品、ということから
日本文学を超えて世界文学であると
言っており
まったく同感なのです。
文学全集の日本文学シリーズではなく
世界文学の方におさめられた
石牟礼道子の遺産に
長い時間をかけて
向き合うことになりそうです。
DJ KAZURU
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