1993
EGREM CD 0062
1. Al fin te fuiste de mí
2. Lo digo y es así
3. Estoy buscando un amor
4. La Bachata de Guido
5. Soy tu Amor, soy tu castigo
6. Np llores, no vuelvo
7. Nos estamos alejando
8. El que no se movió, perdió su tiempo
9. Lo que te trae Rumbavana
10. Como esclavo de tu Amor
11. Como la mulata Belén
キューバ音楽史上屈指のコンフント、Rumbavana の作品を紹介します。
最近、往年のメンバーを中心に Envidia レーベルから復活 CD がリリースされましたが、全盛期から 20 年近くも経っているので、当時はどんな音なのかご存知ない方が多いと思います。
言
葉で説明すると、コンガやギロがごりごりと刻む Son のリズムに、マッチョな 3
人のカンタンテがメロディを乗せ、何本ものトランペットがいっせいに火を噴く、怒涛のサウンドがルンババーナの世界。今や失われてしまった 1980
年代の魅惑のキューバ音楽そのものがそのサウンドに詰まっているのです。
Rumbavana の設立は古く、革命前夜の 1956 年。革命後、キューバの主なバンドはキャバレーなど演奏の場を失い、更に音楽学校ではクラシックやジャズの高等教育に力を入れた半面、民族音楽を禁止したこともあって、Son はその発展を閉ざされていました。
奇しくも北米ニューヨークでは、Salsa が誕生した頃です。
1967 年、ピアノ、作曲を担当する Joseito Gonzalez が入団。
ルンババーナは、彼のディレクションでアルセニオ・ロドリゲスからチャポティーンに受け継がれてきたコンフント・ソンのスタイルを守りつつ、さらに現代的に展開することに成功します。
そのスピード感に溢れる演奏スタイルは、1970 年代のコンフントの基本となり、1980 年代初頭に起きた 「 Son の再生 」 というムーヴメントにまで繋がって行きました。
Joseito Gonzalez は、デビュー前のアダルベルト・アルバレスの楽曲を取り上げたり、SON14 を始め、プエルト・リコの楽団ソノーラポンセーニャにも大きな影響を与える存在になります。
今回紹介するのは、1980 年代後半の録音に数曲加えた CD 編集盤。まさに、絶頂期のルンババーナが楽しめます。
楽曲では、3.6.9.が聴き所。トラディショナル・ソンにはない怒涛のドライブ感は、ティンバをも凌ぐ強烈なグルーヴを出しています。
4.は、ミディアム・テンポの Son。
私がキューバ音楽を好きになった要素が凝縮されているといっても過言ではない、他のジャンルにはない Son 独特のリズム感が味わえます。
Joseito Gonzalez は、この作品の前後 1987 年に 「 Festival Del Son 」 のディレクトールの仕事を通じて、成熟していたバンド・ソンをヌエバ・トローバと融合させることで更に発展させようとしていました。
ところが、同時期にホセ・ルイス・コルテス率いる NG La Banda が Timba の誕生ともいえる新しいサウンドを発表。
あっという間に大人気を得て、バンド・ソンの流れは壊滅状態になってしまいます。
1980 年代に隆盛を誇ったバンド・ソンの多くのグループは 1990 年代に入って次々と失速、時代の音をキューバン・サルサ、ティンバへ完全に明け渡していくのです。
Joseito Gonzalez はその後 Rumbavana から離れ、Orquesta Riverside のディレクトールを務めた後、Habana Son に在籍。
1996 年に日本滞在公演を行って、翌年中国の北京公演の後、体調を崩しキューバに帰国してから、惜しくも急死してしまいます。
1980 年代のバンド・ソン隆盛の担い手という大きな役割を終えたとはいえ、あまりにも若い年齢での他界は、キューバ音楽界にとって大きな損失でした。
Joseito Gonzalez が率いていた Rumbavana は、アルセニオ・ロドリゲスやチャポティーンと、アダルベルト・アルバレスやマノリート・シモネーを繋ぐ最重要バンドとして、光り輝いていたのです。
キューバ音楽ファンならば、一度は耳にすべきバンドでしょう。
(福田カズノブ ★ 2007/01/10)
Add A Comment