1994
QB 9012
1. Sin Tu Amor No Hay Amor
2. Dime Tu Lo Que Sabes
3. Que Ganas
4. El Cha Cha Cha Es La Cosa
5. Son De Cuba A Puerto Rico
6. Que Te Pasa Loco
7. Por Si Acaso
8. El 443025
9. Si Estoy Solo
10. Dos Mujeres
11. Mueve La Cintura
12. Te Repetiste
13. El Profesor Del Decimo Grado
14. Vengo Con Ire
イサック・デルガードの第2作。
前作 「 Dando La Hora 」 は記念すべきソロ・デビューという
位置づけとすれば、この作品は、
イサック・デルガードが自身のサウンドを確立し、
人気、実力共にキューバを代表するアーティストになる
きっかけとなった初期の傑作といえます。
楽曲は全 14 曲。
アナログ盤ならば 2 枚に相当する曲数ですが、
どの曲も素晴らしいので各曲を紹介しながら
このアルバムを見ていきたいと思います。
1 曲目 「 Sin Tu Amor No Hay Amor 」 は、今や Los Van Van には、なくてはならないサウンドの要のキーボード・シンセ奏者 Boris Luna と Giraldo Piloto との共作。イサックの甘いボーカルにトランペットとサックスの異なるメロディ・ラインが交錯するところが聴き所でしょう。
2曲目 「 Dime Tu Lo Que Sabes 」 は、1980 年代の代表的なバンド、Original de Manzanilloの元メイン・ボーカリストで、名作曲家でもある Cándido Fabré 作。イサックは、以外にも彼の作品を多く取り上げています。ルンバ、サンテリアに大きな影響を受けているイサックの歌唱がこの曲のポイントです。
3 曲目 「 Que Ganas 」 は、イサック作でピロートがアレンジを担当したナンバー。パウロやマノリン程ではありませんが、イサックも作曲を手がけています。
4 曲目 「 El Cha Cha Cha Es La Cosa 」 は、Los Van Van の Juan Formell 作。ロス・バン・バンでは演奏できない曲調ですが、実に素晴らしいチャチャチャに仕上がっています。
5 曲目 は、Pablo Milané s の名曲 「 Son De Cuba A Puerto Rico 」。Gonzalo Rubalcaba がアレンジしたイサック・バージョンは、作曲者本人のオリジナルを凌ぐ出来で、イサックがヌエバ・トローバも歌いこなせる実力の持ち主であることがわかります。
6 曲目 「 Que Te Pasa Loco 」 は明るいキューバン・サルサ。1991 年頃までイサックが在籍していた NG La Banda のリーダー José Luis Corté s の作です。ライブでよく演奏されていました。
7 曲目 「 Por Si Acaso 」 は、パブロ・ミラネス同様、ヌエバ・トローバのシンガー・ソング・ライター、Amaury Pé rez の作品。イサックが楽曲を採用する時に、歌詞とメロディを最優先するところは他のティンバ系アーティストとは異なる点でしょう。
8 曲目 「 El 443025 」 は、本アルバムのハイライト。NG La Banda を正式に脱退し、イサック・バンドに参加した稀有の才能の持ち主ピロートが創りだした傑作曲です。
9 曲目 「 Si Estoy Solo 」 は、目立たない曲ですがあらためて聴いてみると味わい深くとてもよい曲です。後半、肩の力を抜きながら徐々に盛り上がっていきます。
10 曲目 「 Dos Mujeres 」 は、ピロート作、前作のキーボード奏者 Dagoberto González アレンジのナンバー。名手 Tony Pérez のピアノ・リフが全面に飛び出してきます。
11 曲目 「 Mueve La Cintura 」 は、イサック作。シントゥーラ用のナンバーです。
12 曲目 「 Te Repetiste 」 は、イサックとピロートの共作。このセカンド作のバンド・メンバーは、ドラムス Giraldo Piloto、ピアノ Tony Pé rez、シンセ BorisLuna、コンガに Negron、トランペットに Carlos BOLA Betancourt、という布陣で、今ではありえないほどの名手揃いです。
13 曲目 「 El Profesor Del Decimo Grado 」 は、8 曲目と並ぶピロートの傑作曲。イサックの声にフィットしたメロディとアレンジ。1990 年代前半のキューバン・サルサが創りだした代表ナンバーでしょう。
14 曲目 「 Vengo Con Ire 」 は、イサック作、トニー・ペレスがアレンジを担当したファンキーなナンバー。ライブではこのタイプの曲を多用し、スロー・ナンバーを引き立てています。
全 14 曲。溜息が出るようなアルバムです。
イサックは、この作品の後、立て続けに名作を発表し、キューバを代表するアーティストとして海外でも評価されるようになりますが、キューバン・サルサを代表する名手達と創り上げたこの作品がターニング・ポイントになったのは間違いありません。
まさにキューバン・サルサ・ファン必聴の一枚です。
(福田カズノブ ★ 2006/11/20)
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