三浦しをんの書評集
「本屋さんで待ちあわせ」を
読んでいて
これは! と思ったのが
永井義男氏の
「江戸の下半身事情」。
わたくしは江戸期が舞台の
小説が大好きなのですが
いわゆる「閨」のシーンになると
これは当たり前のことを
描写しているのか否かが
分かりにくく困ることが
多いのです。
たとえば
岡場所(吉原のランク落ちのような処)
に男友達二人で入っていって
通されるのが同じ部屋。
女が二人来て、各カップルの間には
屏風一枚、ということは
現代なら「どんな売春宿だよ!」と
なるけれど
この本を読んでおくと
ごくごく当たり前のことだったと
わかります。
他にも実際の事例をあげて
いっぱい解説されてます。
やはり江戸時代の建物は
殆ど紙製の仕切りしかありませんから
いろんなことが
筒抜けなわけです。
三浦氏も
江戸時代の人たちは
性的に奔放すぎと
指摘していますが
「当時の常識」のようなものが
理解できると
歌舞伎なんかもぐっと分かりやすく
なります。
大岡越前をはじめ、時代劇で
描かれがちな
「庶民に優しいお上」の存在が
幻想である点にも話は及んでいて
男女の事情とともに
身分制度も現代とは
全然違うわけです。
やはり身分の低いものは
命が軽く扱われてしまう···
しかし今と何らかわりない
法令もあって
「間男料」、つまり
他人の嫁を寝取った場合の
示談金は七両二分と
定められていたそうです。
今でもTVのワイドショーで
不倫慰謝料の相場は幾らとかって
弁護士コメンテーターが
話してますよね。
人の不義理につける値段は
いつの時代でも
空しく感じられますが
「相場」があるということは
それだけ間男する亭主持ちが
いっぱいいるということ
なんですよねえ、ああおそろしや。
DJ KAZURU
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