60年代を探る意味も含めて
「抱擁家族」小島信夫 著
拝読。
なんていやーな気分にさせる
小説なんでしょう。というのが
まずは感想です。
インテリの父親は終始
自分に自信が持てず
プライドだけが高い。
母親は若い米兵と浮気、
しかしそこに愛情はない。
彼女がガンになり死ぬと
父親は途端に「若い女」を
後妻に迎えようと物色しだす。
娘と息子は
戦後を謳歌する世代らしく
日本の風習に縛られたまま
アメリカを崇拝。
「家には主婦が必要なんだから
後妻に来てもらうか
お手伝いを雇え」という
息子。
みんなしてちっとも
自分で歩こうとせず
人に文句ばかり。
家庭ってなんでしょうね。
一生懸命に装わなければ
成立すら難しいものなのではないかと
げんなりするような
小説です。
ただただ
相手を避難する
不毛な会話だけが続き
沼に落ち込んでいくような···
これが戦後文学として
ヒットしたんですね、この
ひとつも落ち着く場所のない
家庭を描いた小説がねえ。
DJ KAZURU
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