枕草子について
「かなりの切れ者が書いた文」
という印象は持っていたのですが···

この
松岡正剛　著
「面影日本」を読んで
何が響いたのかはっきりしてきました。

こんなにセンスの良いものを
書いた人は千年も前の

せいぜい30才くらいの女性。

以下、松岡氏の文章を
わずかではありますが
抜いて記しておきました。

本当は全文読むと
「あはれ」と「をかし」についても
分かるのですが
さすがにそこまで引用しにくいので
少しだけかいつまんどきました。

ところどころ中略してます。

···

言いたいことを大小
長短、内外に自在に分けて
まったくもって清少納言は
勝手気ままに自分の好みを
言いたいほうだいなのである。

好きなテイスト(風情)と
アディクション(嗜癖)を
あげているだけなのだが
こう、断定されると逃げ場がない。
けれども追い込んでいるようで
さっと引く。
ヒットエンドランなのである。

美の遊撃であって
知の遊動だ。

右や左や後ろや前に飛ぶ。
飛ぶたびにジャッジメントを
言い捨てる。
言い捨てるだけではない
転じていく。
目が転じ、評価も転じる。
そのイメージングの展きぐあい
絞り具合が、まことにうまい。

何が好きで何が嫌いなのかを
はっきり言う。
言いながらすばやく比較を入れる。

リストのあげかた、それを
答える手順、順序、序破急
守破離も巧みだ。

「枕草子」はリストアップと
その回答の羅列でありながらも
つねにどこかで読む者の「好み」の
心を打つ決定打を放つようになったのだ。

研ぎ澄ました決定打を
放つときはそこでチョーンと
拍子木が打たれるように、
幕なのだ。

「下品なもの」では
ずばり「新しい布屏風」と言ってのけ
しかもその屏風が新調されて
満開の桜などを描いていると
もっとうんざりする、と
さらに決定打なのである。

自分で出題をしたヒト、モノ、コトに
自分で答えていくのは何とかなるのだが
その組み合わせ、取り合わせには苦労する。

フィル・コリンズ
マドンナ
エルトン・ジョン
はつまらないと言ったあとに
そこから
ルー·リード
トム·ウエィツ
桑田佳祐
坂本冬美
元ちとせ
清元の清元延寿太夫
新内の岡本文弥
というふうに攻めていくのが
大変なのである。

＊以上、面影日本より中略ありの抜粋

DJ KAZURU