「黄金夜界」橋本治著
拝読。
「金色夜叉」のパスティーシュかと
思い読み進めましたら、それに加えて
痛烈な現代の労働構造の
批判でした。
主人公はレストラン経営者の
家庭に引き取られ、その経営者の
後を継ぐべく東大で学んでいる学生ですが
ひょんなことから
無一文、無宿、無職となり
日雇い労働や
居酒屋店員、零細工場の手伝い
などをへて、若き実業家となります。
その過程で
「搾取する」立場から
「賃金をえる」立場から
悲しいまでの現代日本の
労働環境、ひいては
「金回りの事情」が露呈されます。
「100円単位のものを
低所得者に売り付けるのが
もっとも稼げる」
というような、貧しすぎる
真理まで語られます。
金色夜叉は
カーストのような
身分格差社会のもたらす
恋愛悲劇を描きましたが
ここでは
もっと恐ろしい、今の日本で
働くとは何か、が書かれてます。
もちろん悲劇です。
DJ KAZURU
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