金原ひとみ
「マザーズ」拝読。
20歳代の母親たちの話ですが
どこを読んでも
育児とは壮絶なものなのだなあと
いうことがヒリヒリ伝わってきて
ほとんど地獄なのですが
もちろんどの登場人物も
我が子はめちゃくちゃ可愛いわけで
地獄と天国が行ったり来たり。
しかしほぼほぼ地獄の時間が
横たわっているのです。
育児は手助けが絶対に必要、という
一文は正しいはずなのでしょうが
そういうふうには
社会構造が出来てない。
親に頼ればピントの外れた
口を出される
プロに頼めば金が出ていく上に
周囲から「サボっている」目でみられる。
一生懸命に子供と向き合おうとしている
母親が、子供を虐待しそうになるとき
クスリ常用の母親が
楽な気持ちで接していきなよ、と
さらりと言う。
もはや何が正解なのか···
子育ての痛みや悩みを
どこか他人事のまま
「父親」である看板だけ出している
夫への深い憎悪。
自分の時はね、と
したり顔で先輩面するだけで
現実の問題を
共に解消しようとはしてくれない
実母への怒り。
彼女たちの
「どうにもならない感情」を
受け止めるものはこの世界に
存在しない。
そんな気さえしてきました。
面と向かって
「子供と二人でいると殺しそうになる
とか
「シッターさん呼んだから
不倫相手とセックスしてくる」
とか
言ってくる母親たちがいないので
その背景を想像してみようと
思うことなどないわけですが
せめてすべての父親たちが
想像してみないかぎり
この地獄に救いはないように
思われるのです。
DJ KAZURU
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