片山杜秀 著
「音楽放浪記日本之巻」拝読。
「レコード芸術」の
連載をまとめたものです。
特に日本の作曲家についての
研究は右に出るものがいないです。
常々この人の見識の高さに
唸るばかりですが
改めて
「よくぞ調べてくださいました」
という内容。
1963年生まれというには
ええっ?と思うくらい
古い演奏会の実体験もあって
小学生の頃から異様な観察力で
コンサートを楽しまれていたことが
分かります。
私は
信時楽派という流れを
知らなかったのですが
明治期に単線律か二声ていどの
讃美歌に真実の美を見いだし
欧風即物主義ではなく
民謡音感を取り入れ
近代日本の音楽を探求した
「海ゆかば」の作者が信時潔だそうです。
彼が弟子の
下総完一(たなばたさま、の作者)を
ヒンデミットの元へ留学させたのは
ルネサンスのポリフォニーのあとに
簡潔なバロックがきたように
Rシュトラウスなどの肥大しきった
音楽のあとにはスリムな音楽だ、という
革新があったと続きます。
たなばたさま、は日本的カノン
と云われればそのとおりで
単線律で簡潔です。
次の後継者として
松本民之助(ヒンデミットと
日本的音感の折衷に凝った人だそう)がいて
この人に少年時代から大学院まで
師事していたのが
坂本龍一なんだそうです。
坂本龍一の
「最も有名なメロディ」戦メリは
「律音階の変種のような五音音階であり
次に一種の転調がおきて
五音音階と七音音階の
ハイブリッドのように鳴る」
「単線律、簡潔な発想、少しの声部、
オーケストレーションを必要としない
南方的五音音階、大編成に興味のない
信時楽派」
と言われればなるほどなるほどの
連続で、なんかうまく
まとめきれませんで
自分が不甲斐ないですが
東京音楽学校の
血は濃い···と思った次第。
DJ KAZURU
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