愛の領分
藤田宜永 著、拝読。
先日亡くなったばかりの著者。
妻でもある作家、小池真理子氏が
新聞に追悼文を寄せて
「さみしくてさみしくて
たまらない」と
締め括られた文章に
涙を誘われました。
小池真理子は文章からも
ぱっと見からも「魅力的な女性」で
あることがうかがえます。
こんな良い女といっしょにいるなんて
著者はどれだけ素敵な男なのかと
思っていました。
老いても若い時代の
恋愛を引きずっている者たち。
財産を奪われた男
妻を奪われた男。
そこにあるのは
単純な憎しみや復讐心ではなく
離れがたい絆だったことが
二人の男の関係を面白くしています。
女性のあがく姿の描き方も印象的。
病を得て諦念するどころか
醜く過去の恋人にすがり付いたり
執着を隠せなかったり。
みっともない振る舞いが
いとおしく感じられてきます。
小池真理子と同様に
しっかり恋愛をしてきた人の
小説ですね。
DJ KAZURU
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